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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
去年亡くなったスタッフの後任を求めて、現在、外部からの採用活動中。今日はふたりの求職者を採用インタビュー。

 そのうち、ひとりめとのインタビューが、採用する側の質問も、採用される側の回答も、完璧と思える理想的なものだった。

 私は、同じ人事としては採用の仕事を専任でやったことはないけど、個人のコンピテンシー(大ざっぱにいって職務能力)を評価する手法としてのインタビュー技法については体系的に勉強しているし、過去に採用面接にその方法を使ったりしていて、実務的な経験も積んでいる。

 今日のひとりめのインタビューは、休職者がそのノウハウを知っていたとは思えないのだけど、インタビューに対して瞬時に完璧な回答を返すものだから、すっかり惚れ込んでしまった。

 インタビューの技法そのものは、そんなに難しいものではない。過去に成功体験を感じた出来事について、その時にどんな状況だったか、どういうことを考えて問題解決に至ったかを詳細に聞き出すだけだ。まぁ、あえて言えば、自分が聞き出したいと思う能力(コンピテンシー)について、具体的な行動事例が引き出せる追加質問を行えるかが、インタビュアーのノウハウだと思う。

 しかし、今日はそのノウハウを駆使する必要もなかった。その場で成功事例についてサクセスストーリー風に語って欲しいと水を向けただけで、余計な状況説明もなく、完璧に、成功に至った課題についてどう考え、どう周囲の人に働きかけ、どういう問題解決策を提案したのかが、手に取るようにわかった。

 こういう高コンピテンシーを持つ人とは、ぜひ一緒に仕事がしたい。しかし、自分の今の部下の年齢や経験・ポテンシャルとのバランスもあって、この人を採用した後で他の部下がどう思うかをいろいろ考えてしまう……でも、欲しいなぁ……。
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「Mさん(仮名。私のことです)、あなたのやってきたことはやはり正解だと思うよ。我々はトレーニングプログラムを提供しているんじゃない、顧客部門のビジネスイシューを解決するための手段を提供しているんだ。今まで提供してきたソリューションを含めて、ケースをもっと顧客にアピールしなさい」

 滅多に人を褒めない上司(人事部長)が、褒めて励ましてくれた。もちろん、その前後には、いろいろと悩ましい仕事の件で苦言もあり、今後もっとやらねばならないことについての指示も受けているのだが。

 私の仕事は、一般的に言えば教育・研修マネジャーだ。しかし、この2年間ぐらい、教育・研修プログラム開発を展開しつつも、顧客部門のビジネス上の悩みや課題について、話を聞き込み、それを「集合研修」や「外部で公開されている研修」の紹介にとどまらず、人材育成や組織のパフォーマンスを高めるプロセスに落とし込んできた。

 アメリカではOrganization Development/Organization Effectiveness/Performance Consulting/Performance Improvementなどと呼ばれている分野で、従来のTraining&Developmentの発展形として既に存在している。私が勤めている会社は、同じ外資系でもヨーロッパ系の会社であるせいか、グローバルの人事部門にそのノウハウも意識もない。見よう見まねで試行錯誤しつつ、ローカルの人事部門の一部として顧客部門の話を聞き込み、経験を少しずつ積んでいる。

 会社によっては直接に外部コンサルタントに回す仕事でもあるが、我々は一旦話を聞いて、ニーズと我々が持っているノウハウによって外部・内部のノウハウを使い分け、継続的に顧客である事業部・部門トップの悩みや課題に応えようとしている。

 それぞれの事業部や部門のビジネスニーズに対して的確なプロセスをデザインすることによって事業部や部門のパフォーマンスを上げる分野でキャリアを築きたいと思ってきた私にとっては、継続的に相談案件が入っており、その経験をもとに新たな顧客を開拓するように上司に励まされる状況にもあり、本当にやりがいがある。

 10年ほど前、今の上司が人事部長になる前は「所詮はトレーニングだろ」と一刀両断にされて口惜しい思いをしたこともあったが、今日の言葉は私にとって何よりも嬉しい褒め言葉だった。これからも頑張るぞ。
 今年も、3ヶ月にわたって計9日間になる営業部門の選抜プログラムを終了した。3年目、3回目になる当プログラムだが、過去2期の参加者を上回る熱意と意欲でもって課題の掘り下げを行い、提案の完成には至らないまでも来月か再来月の営業部門の幹部会議に提案をプレゼンする準備を終えた。

 この研修が生まれた背景は、当社の社員の半分以上を占める営業部門において、部門長や部長クラスを将来担う人材がいないという危機感からだった。人事部長である私の上司が「文句を言う評論家ばかりで自ら問題や課題を発掘して建設的な提案に展開できる人材がいない。優秀な人材を集めてきちんと論理的思考の方法を教え、リアルな現実の中から課題を分析して提案できるようなプログラムをつくれ」と私にハッパをかけたことに始まる。

 そのアイディアをもらって、当初は2.5日×4セッションのプログラムを設計した。最初のセッションで論理的思考法を外部の講師に教えてもらい、残りの3セッションでは講師と私と営業部門の部長の共同運営の下で、グループに分かれた参加者が問題の分析を行い、解決策を含めた提案に完成させる、というものだ。完成した提案は、後日、グループの代表によって営業部門の会議でプレゼンされ、その提案が本当に良ければ実際に採用してもらう、というコンセプトになっている。言ってみれば、若手の幹部候補に会社の具体的な問題について提起させる「ジュニアボード」と、実務課題の発掘と問題解決のプロセスを通じて学ぶ「アクションラーニング」を混ぜたプログラムだ。

 このプログラムを受け入れてもらうには、いくつかハードルがあった。

 まず、2日間を超える長い研修を嫌う営業部門が、合計10日間の長い研修に合意するかどうか。営業部門に持って行ったら、若手幹部の育成には反対しなかったものの「もっと短くならないか」と案の定言われた。しかし、学習プロセスにはこれだけの期間が必要だと述べたところ、営業部門長(当時)は10日間の長さが必要であることを認めてくれた(昨年から、より密度の濃いディスカッションの時間が取れるように、3日間×3セッションの9日間セッションが試され、こちらの方が効果的とわかった)。

 次に、トップクラスの業績を挙げている優秀な営業部員を10日間近くも現場から離すことを支店長が認めるかどうか、かつ本当に優秀な部員を出してくれるかどうかだった。これについては、様々な営業部門改革が進んでいた年で支店長の顔ぶれも一新していたこともあり、一回のプレゼンですんなり通ったのは(昔の営業部門の体質からすれば、考えられなかったのだが)今でもありがたいと思っている。そして、一度そういう企画でプログラムが決まれば、他の支店長が出して来る参加者と見劣りする参加者を送り出すのはまずいという判断が働いたかどうか、少なくとも営業成績では他の支店にも名が知られているような優秀な部員を送り出してくれている。

 そして、主催者側としての次の関門は共同運営できる外部講師。これには、別の部門の研修実績があるコンサルタントのグループを(営業部門の幹部立ち会いのプレゼンを通じて)選んだ。ひとりは営業部門改革が得意、もうひとりは論理的思考法やファシリテーションにも造詣があり、もうひとりはマーケティングが本業だが人や組織の問題についても論客であるという理想的な組み合わせだ。彼らはプログラム期間中のおよそ半分に参加し、論理的思考力やディスカッションの方法を教え、参加者がディスカッションした途中経過の発表で厳しくも温かいフィードバックを送ると共に、プロセスから何を学んでいるかを確認していく。

 さらに工夫しているのが、社長、営業部門トップにプレゼンしてもらうだけでなく、実際の課題に取り組んでいる部長級の幹部を、参加者の関心(3グループに分かれて各自で課題設定をしている)に応じて期間中に引っ張り出し、問題提起してもらったり現在取り組んでいるプロジェクトについて解説したりしてもらうことだ。これには、営業部門の中で主に営業部員の製品知識やスキル研修を担当している部署の部長がコーディネーション役を買って出てくれ、私と一緒にプログラムにほとんどべったり貼り付きながら必要に応じて調整をしてくれている。要所要所のプレゼンでは、私と一緒に各チームの問題の掘り下げ方や論理の組み立て方について批評し、必要な視点を補完してくれている。

 今年になって営業部門のトップが交替したが、プログラム開始のプレゼンや懇親会への出席にとどまらず、土曜日というのに昨日の最終日にサプライズで顔を出してくれ、長いプログラムを終えた参加者を激励してくれた。

 第1セッションと第2セッションの合間には、宿題と称して参加者には支店長にインタビューに行ってもらい、支店をマネジメントするというのはどういうことか、戦略課題をどう見てどう手を打っているか、などを聞き出してもらう。これがまた支店長を関与させることになり、支店長は最低でも1時間、長い人になると5時間以上にわたって参加者に時間を取ってくれて(汗)、食事や酒をはさんでマネジメントについてレクチャーしてくれている。

 で、私たち人材開発チームは、研修会場の設定や講師との調整に加えて、各チームの状態を把握し、必要に応じて営業部門の手助けを依頼する。

 こんな具合で3年間やってきているのだが、我々主催者側以外の方々の協力が大きく、また社長が各支店を回って様々な話し合いをする機会をとらえては宣伝してくれていることもあって、すっかり営業部門の若手にとっては垂涎のプログラムとなった。

 さらに我々は、このプログラムの中から本社に移れそうな資質・能力(主に論理的思考力と対人コミュニケーション力)の高い参加者に目をつけて選抜し、本社で要求される英語をマンツーマンで学べるプログラムを去年から提供し始めている。

 そして、このプログラムの出身者から、営業所長に昇進する者あり、マーケティング部門に転じてジュニアプロダクトマネジャーになる者ありと、営業部門の若手の登竜門として機能しつつある。今年は特に目立つ優秀な参加者が多かったので、さらに活躍する卒業生が増えることだろう。

 提案の方だが、今のところ実際に採用されるレベルの提案を上げてくるグループは、去年までなかった。それでも、初年度は「こんなことを幹部に提案していいのか」とおっかなびっくりディスカッションしていた状況から少しずつ変わり、今年に至っては独自に顧客アンケートを取ったりするなど自主的な姿勢が強くなってきた。提案で取り上げるテーマも、確実にレベルが上がっている。今年辺り、採用される案件が出るのではないかと楽しみにしている。

 このプログラムに関しては、支店長からも「このプログラムはいい。少なくとも5年は続けるべきだ」と言ってくれており、これを続けることによって確実に営業部門の中に問題発掘・問題解決志向と学習する志向を定着させていくことができるのではないかと期待している。
 今年に入って4度目のチームビルディングセッションを1泊2日で終了。計算していた以上にいいセッションになった。私の貢献というよりも、参加者が自発的に気づいてくれて、互いの協力を強化しなければいけないという気持ちになってくれたことがセッションの成功を決めたと思う。

 今回は工場の全マネジャーたちが対象で、18人が参加。工場長の依頼で企画運営したのだが、3年前のリストラクチャリングで、希望退職を募ってベテランのマネジャーがごっそり抜けて後を継いだ若いマネジャーが右往左往していたり、正社員のかなりな割合をパート契約にして(無論、それなりの経済補償はしたが)契約社員を入れたために処遇やスキル継承の点でいろいろな問題があったり、何よりも賃金カット10パーセントを呑んだ参加者自身の一部が「会社は自分たちを守ってくれない」という被害者意識で後ろ向きだったり、いろいろ問題があった。

 もともと口が重い工場のマネジャーたちが相手で、どう意見を引き出すか、率直に話してもらうか、事前には頭を悩ませた。しかし、蓋を開けてみたら、最初の日の午前中は後ろ向きの意見もあったものの(それも、吐き出してもらうことがチームビルディングセッションでは重要だ)、現状をポジティブに捉える発言が出てきて、午後からは一気に明るいセッションになった。それが、ひとつのブレークスルーになった。

 そしてもうひとつの鍵は、あるリーダーシップ研修を見学してヒントをもらった「車座」セッション。最初はテーブルを組んで小グループでディスカッションしてもらったのだが、一日目の午後後半にテーブルを取っ払い、椅子だけで全員が身を寄せ合って円になり、彼らが一番重要だと考える課題について話してもらった。テーブルなど遮るものがなく、身を寄せ合うことで一体感が生まれ、共通の課題に向かってもっと先に進もう、場当たりでなく建設的な解決の方向を探ろう、というモメンタムが生まれた。

 また、このセッションを依頼した工場長の全面的なバックアップも成功の鍵のひとつ。重要課題のディスカッションは解決に至らなかったものの、プロジェクトとして引き取ると約束してくれた。また、工場長が狙っていた、上からのビジョン・戦略待ちという姿勢を能動的・自発的・自律的に変えるという目的に対してうまく作用したセッションの成功を大いに評価してくれた。

 最後の半日に参加した社長も、このセッションについてはぜひ社内のイントラネットの広報ニュースで広めて欲しいと言ってくれた。

 チームビルディングセッションは、どんなに緻密にアジェンダと時間割を計画しても、蓋を開けてみないとわからない。しかし、夜の飲み会も含めて1泊2日を通じて参加者の顔の輝きが違ってくるのを目の当たりにすると、やりがいというか喜びを感じる。

 私は、自分の仕事をディレクターまたはプロデューサーだと思っている。研修やチームビルディングセッションという「場」をプロデュースすることによって、参加者が日常の仕事の中で感じているモヤモヤ感や悩みや問題を整理し、気づき、あるいは今まで身に付いていなかった知識やスキルを得て、元気に仕事の場に戻る「場」をどうつくるか、日常の仕事の場に彼らが戻るときにセッションを通じて得たものを活かせるような上司の支援に繋いでいくことで、参加者も変わり、上司も変わっていく。製品のように目に見えるものではないが、非日常の「場」で得たものがひとりひとりの財産になるようなサービスをどうデザインして提供していくか、やりがいのある仕事だと思っている。
プロフィール
HN:
まりあっち
性別:
非公開
自己紹介:
タレントマネジメント(人材開発・組織開発・パフォーマンスマネジメント・採用など)のスペシャリスト。
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