タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
先月、85歳の母が亡くなったので対象者が身近にいなくなってしまったが、これ、孤独死が増えるだろうなぁ。
「貧しい老人は自宅で死ぬ」という冷血格差社会の固定化
悲惨な孤立死が増加…遺体の腐敗が進み異臭で発見、身元確認が困難
「貧しい老人は自宅で死ぬ」という冷血格差社会の固定化
お年寄りの健康と命より、“安倍サマ”のメンツが大事ということだ。衆院厚労委は安倍首相に森友学園絡みの質問をぶつけた野党に与党がハラを立て、介護保険関連法の改正案を強行採決してしまった。
一定年収以上の高齢者に介護料の3割負担を強いる法改正をこんな形でゴリ押ししたのだからムチャクチャだ。
高齢者の介護料負担は2年前から2割に増えたばかり。負担に耐えられず特養ホームを退所するケースも出ているのに、安倍政権の「老人イジメ」は止まらない。
この春からは高齢者狙い撃ちの負担増ラッシュ。4月には75歳以上の医療保険料の「特例軽減措置」が縮小し、収入に応じて支払う「所得割」のうち、低所得者への5割軽減が2割にカットされた。
来年度には特例そのものをなくすというから、血も涙もない。これでは下流老人は病院にも行けない。
8月には「高額療養費制度」で定めた70歳以上の医療費負担の上限額が跳ね上がる。対象者は実に約1400万人。年収370万円未満だと、入院を含む負担上限が4万4400円から5万7600円にアップする。
すでに70~74歳の窓口負担を原則2割に引き上げ、75歳以上も1割から2割への負担倍増案も検討中だ。こうして病院通いのハードルを上げながら、虎の子の年金を株式市場の鉄火場にブチ込んでいるのだから、とんでもない話だ。
65歳以上のうち、生活保護基準以下の低年収層は推計200万人もいるのに、冷血政権には「貧困と格差」を解消する意欲は一切ない。
「『老後破産』や『下流老人』という言葉が定着する中、むしろ『貧しい老人は病院に来るな』『国のカネを使わず自宅で死ね』というサジェスチョンすら感じます。基本的人権から逸脱した政権が進めるのは、貧しい人が死ぬまで貧困に苦しむ格差の固定化です」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
長寿がリスクになるとは、つくづく嫌な時代だ。
悲惨な孤立死が増加…遺体の腐敗が進み異臭で発見、身元確認が困難
高齢化社会が急速に進み、今や国民の4人に1人以上が65歳以上です。また、核家族化が進んだために、「一人暮らしの高齢者」も増えています。それに伴う高齢者の「孤独死」の現状について今回は考えてみます。
私たちは、単身世帯者が自宅で死亡したケースを「孤独死」と呼んでいますが、その定義を調べたものの、法令や行政の文書で定められたものはありませんでした。
見つかったのは、内閣府が2010年に発行した『高齢者白書』の中の記載で、「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な孤立死」というもの。
ここで私が注目したのは、「相当期間放置される」という表現です。「しばらく顔を見ない」とか「新聞が溜まっている」という段階で、死後、何日かが経過しているでしょう。そして、「異臭がする」などの通報で、警察官によって発見されるケースもあります。
警察官が発見した時には、死体の腐敗が進行していることも多いはず。ですから、「相当期間放置される」という表現になったのかと思います。また、このような孤独死は、誰にも看取られないという寂しさに加え、変わり果てた姿になりますから、先の白書に記されていたように「悲惨」という言葉が適切かもしれません。
50代の孤独死発見が遅れるのは「気にも留めてもらえない」?
東京23区は監察医制度が施行されているので、「変死」はすべて東京都監察医務院の監察医(死体検案を専門に行う医師)が扱います。
某年、都内のある施設で扱った変死に占める孤独死の割合は、男性が7%、女性が3.9%でした。平均年齢は、男性が63歳、女性が72歳と、その地区の平均死亡年齢(男性が74歳、女性が80歳)よりも低いことがわかりました。
死因は病死・自然死がほとんどですが、なかには死後変化によって判定できないものもありました。
また、大阪府監察医事務所の調査によると、孤独死が発見される平均日数は、男性が6.8日、女性が2.4日。男性のほうがなかなか発見されないようです。年齢群別に発見までの経過日数を調べると、90歳以上は約4日、70代は約5日でしたが、50代は約9日もかかっています。
高齢になると周囲の人や家族も心配してくれるので発見が早く、50代は気にも留めてもらえないということなのかもしれません。
発見に至ったきっかけを見てみましょう。日頃から介護を受けており、介護者が訪れたときに発見したという例が最も早く、死後から平均で2.7日でした。
発見件数では「異臭がする」という通報によるものが最も多く、死後から平均で14.8日でした。
孤独死が発生すると、どのような弊害があるのでしょうか? 社会的に次の3点があります。
①身元確認が必要になる
死後変化が進行することで顔貌が変化し、親類が確認できないことがあります。指紋の登録があるのは一部の人ですし、ミイラ化や腐敗などで指紋の採取もできないことがあります。
この場合、遺体から採取した試料と家族から得た試料との間でDNA鑑定を行わなければなりません。費用と時間を要することはおわかりいただけるでしょう。
②犯罪が隠蔽されるおそれ
たとえば、何者かが侵入して殺害したとします。発見されるまで、犯罪の事実が確認できません。また、死後変化が高度になることで、遺体に存在していたはずの創傷がわかりにくくなります。したがって、犯罪が隠蔽されたり、事件の解決に支障をきたすおそれがあります。
③環境に悪影響を及ぼす
腐敗が進行すれば、異臭だけではなく、その周囲に体液や死体の一部が浸潤します。また、ハエが集まり卵を産むとウジが発生します。したがって、衛生状態を悪化させることになります。
孤独死を防ぐためには?
では、孤独死を予防するにはどうしたらいいのでしょうか?
高齢でも介護を受けていたり親密な付き合いがある人は、万一のことが起こっても誰かが間もなく発見してくれます。つまり、社会的に孤立している状態をなくすことが重要です。
千葉県のある地域の自治会は、独居高齢者を見守るというルールをつくっています。電気が消えたままである、洗濯物が2日にわたって干したままであるなどの時には、自宅を訪問することになっているそうです。その結果、具合が悪くなって倒れていたのを発見でき、一命を取り留めたということがありました。
このような対策を地域で推進するのはいかがでしょうか。そうすれば不幸な孤独死は減少していくはずです。
(文=一杉正仁)
一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)
滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。厚生労働省死体解剖資格認定医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。
連載「死の真実が"生"を処方する」バックナンバー
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