タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
北海道新聞の記事。
「きょうだいリスク」 支援どこまでできるか 将来に不安
そういった細々とした心配もなくなってしまったけれど、家族を亡くしてひとりになってしまったことの哀しみや寂しさや頼りなさ、よ。
「きょうだいリスク」 支援どこまでできるか 将来に不安
自活が難しい成人のきょうだいの支援は去年、弟と母を相次いで亡くしてひとりになる前、私の最大の心配は母が亡くなった後に弟を経済的・生活的にどうするか、だった。法的に扶養義務はないにしても、母の遺産をふつうに分けてしまったらたちまち使い果たして困窮してしまうし、土地を二分するのは難しかったからだ。
「きょうだいリスク」。安定した収入がないなど、自活が難しい成人のきょうだいの支援についての不安を意味する言葉だ。書籍の題名に使用されたことをきっかけに広まった。きょうだいを「リスク(危険)」と表現することには賛否が分かれるが、背景には引きこもりや親の介護などの問題もある。北海道内の現状を探りながら考えた。
母が亡くなれば、兄はどうなる―
道内の自営業男性、洋史さん(42)=仮名=は、4歳上の独身の兄がいる。兄は大学を卒業して関西地方の会社に勤めた後に、独立し事業を始めたがうまくいかず、7年前に帰郷。母(71)が住む胆振管内の実家に6年間引きこもっている。母によると、兄とはほとんど会話がなく、「毎朝早く外出するが何をしているのか分からない」。
母と兄の生活費は、20年以上前に亡くなった父の遺族年金の月8万円ほど。母から生活に困ると訴えられ、洋史さんは、妻と小学生の長女の3人で帰省するたび、数万円の生活費を渡している。兄からも頼まれ、10万円を貸したままだ。
兄に仕事に就くように話しても状況は変わらず、洋史さんの心配は尽きない。母が亡くなり、年金がもらえなくなったら、兄はどうなるのか―。洋史さんは「正直あまり考えないようにしている」と話す。今は将来、兄の面倒を見るつもりはないが、「『その時』になったら助けてしまうかもしれない」と気持ちが揺れる。
「経済格差」で交流が途絶え
「きょうだいリスク」は朝日新聞出版(東京)が2016年に出版した新書の題名だ。同社の週刊誌「AERA(アエラ)」の特集記事「きょうだい格差という重し そのきょうだいの将来は誰がみる?」をきっかけに書籍化された。
同書の編集担当・木村恵子さんは「『リスク』という単語を使うことには異論もあったが、きょうだいリスクを生む、社会の仕組みや家族観に問題があると伝えたかった」と語る。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の親と未婚の子のみの世帯数は16年、30年前の約5倍となる500万世帯を超えた。50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合(生涯未婚率)も上昇。みずほ情報総研(東京)は、男性の生涯未婚率は30年に3割近くになると推計する。不況を背景に非正規雇用が広がり、結婚をためらう人が増えていることも、未婚の子と高齢の親の世帯の増加要因になっているとみられる。
きょうだい間の「経済格差」が原因できょうだいの交流が途絶え、自活が難しい子どもと親が孤立して暮らすケースも少なくない。
札幌市の無職男性、一朗さん(64)=仮名=は、要介護3の母親(93)と2人で暮らす。母には認知症があり、一朗さんは食事やトイレの介助、洗濯に追われる。同じ市内に家族と暮らす自営業の兄(66)は「忙しい」「暇がない」と言い、母の顔を見に来ないという。
一朗さんは兄家族の自宅に母と同居していたが、兄の子供が成長して家が手狭になったため、40歳の時に一戸建てを買って母と引っ越した。ところが50歳の時に勤めていた会社が倒産。その後、配達のアルバイトなどで生計を立ててきたが、腎臓がんになったことなどから現在は仕事ができず、母の年金で生活をしている。兄は一朗さんが、がんで入院していた時もほとんど面会に来なかったという。一朗さんは言う。「親の面倒を見るのは子どもの責任と思って母と暮らしている。母が亡くなっても兄には知らせたくない。だが、母が亡くなった後、どう暮らしていけば良いのか…」
社会で支えるという視点が必要
きょうだいに関する心配事を共有し、支え合おう―。KHJ全国ひきこもり家族会連合会(東京)は引きこもりのきょうだいがいる人を対象に「兄弟姉妹の会」を月1回開いている。「親にも言えずどうしたらいいか分からない」との声を受け13年に設立。これまでに計約400人が参加した。
引きこもりの支援活動を行うNPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク(札幌)の田中敦理事長は、札幌市内のアパートの一室で1月、80代の母親と、引きこもりをしていた50代の娘とみられる遺体が発見されたことに触れ、「親が亡くなって初めて、親と同居する子供の貧困問題が表に出る。きょうだいなどの家族だけに頼らず、社会で支えるという視点が必要だ」と話す。(阿部里子)
そういった細々とした心配もなくなってしまったけれど、家族を亡くしてひとりになってしまったことの哀しみや寂しさや頼りなさ、よ。
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