タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
NBオンラインで橋本社長のインタビュー連載が続いているが、『日経ビジネス』に掲載された坂本CEOの「社長を育てる方法」も面白かった。
ブックオフ流「社長を育てる方法」
坂本 孝(ブックオフコーポレーション会長兼CEO)が語る
経営者のもっとも重要な仕事は適切な後継者を見いだすことだと言う。ジェネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチは自分の時間の7割を幹部育成と選抜に使った、と、どこかで読んだような気がする。
たぶん、経営者の資質というのは、教えて学べる要素は少ないのだろう。生まれつきと言ってしまうと自分は違うと思うのだが、後天的な環境の中で何をどう学んできたかという部分はある程度の年齢になってしまうと変わりにくいという意味で、教育して身につけさせるのではなく、環境を与えて学んでもらう、という投資をしていかなければならないのだろう。
伸びる素質を見いだすことと、伸びる素質を見いだしたことは環境を与えること、そして伸びるようにフィードバックを与えること。それが経営幹部育成の要諦だと、自分も思う……まだまだ十分にその環境をつくりきれていないけど、これはこれで完成したと思えることのない、終わりのないプロセスだ。
ブックオフ流「社長を育てる方法」
坂本 孝(ブックオフコーポレーション会長兼CEO)が語る
パートのまま2号店の店長に任命して、以来、ブックオフの歴史は「現場の母」橋本さんの成長の歴史です。当初、2号店は赤字続き、閉店を言い渡したら橋本さんが涙を流した。それを見て、やる気のなかった若者たちが奮起、一気に黒字店に転換させました。
不振店だった八王子の大型店を任せた時には、スタッフさんからボイコットという攻撃を受けました。それでも非ボイコット組の少数と懸命に店を回し、その姿にボイコット組も心を打たれて和解、ついには店を繁昌店に変えた。子供服などのリユース事業が赤字を垂れ流し、会社が経営危機に陥った時にも、自ら店に乗り込んでくれました。店で文字通り、汗と涙を流して赤字の原因にメスを入れ、見事に再生させてくれたのです。
橋本氏の個人的なスナップ。結婚して上京、子育てが一段落して選んだパート先が、たまたま近隣にオープンしたブックオフ1号店だったのだ
橋本さんのしてきたことは、今で言う「仮説と検証」です。それを橋本さんは、誰にも習わずして実行してきた。福井県の山村で育って、短大を卒業して専業主婦になって、経営学のケの字も知らずに社長になった。でも、引き合いに出させていただくのも恐縮なんですが、イトーヨーカ堂の鈴木敏文さんが「仮説と検証」を徹底して、会社を大きくしたように、橋本さんも彼女のやり方で、それを実行した。
「橋本さんという逸材に出会って、あなたはラッキーだった」
人によく言われます。確かにそう。1号店の10人の中に、橋本さんがいたんだから。でも僕に言わせれば、パートやアルバイトを100人雇えば、橋本さんクラスの人が1人はいます。おせっかいで、よく気がついて、人の心を引きつける人。
要は、その1人を見つけ出せるかどうか。見つけて、任せられるかどうかなんですよ。
経営者のもっとも重要な仕事は適切な後継者を見いだすことだと言う。ジェネラル・エレクトリックのジャック・ウェルチは自分の時間の7割を幹部育成と選抜に使った、と、どこかで読んだような気がする。
たぶん、経営者の資質というのは、教えて学べる要素は少ないのだろう。生まれつきと言ってしまうと自分は違うと思うのだが、後天的な環境の中で何をどう学んできたかという部分はある程度の年齢になってしまうと変わりにくいという意味で、教育して身につけさせるのではなく、環境を与えて学んでもらう、という投資をしていかなければならないのだろう。
―― 当サイトで連載中の「最強の現場の創り方」では、橋本さんご自身が、現場のお仕事にどんどんハマっていく経験を語っています。彼女はブックオフに一番ハマった方だと思うんですけれど、それには坂本さんが折に触れて育成してきた、言い換えれば「この人をもっと、このブックオフにハメてやろう」といった誘導もされたのではないでしょうか。
それはね、あの人は特性として、褒めると素直に喜んでくれるんです。
―― なるほど。それはいつ頃気がつかれたんですか。
最初から分かりましたね。それは、自分も褒められるとうれしくなる方ですからね、よく分かるんです。うれしそうにして、どんどん仕事をしてくれるんですよ。だから、おだてに乗りやすいというのは、人間としていいことだと思うんですよ。せっかく褒めても「何? 何か下心あるでしょう」みたいな顔をしていてはもったいない。
山本五十六の有名な言葉じゃないけれども、褒めてやって、褒めてやって、褒めてやれば、人は伸びると(笑)。
伸びる素質を見いだすことと、伸びる素質を見いだしたことは環境を与えること、そして伸びるようにフィードバックを与えること。それが経営幹部育成の要諦だと、自分も思う……まだまだ十分にその環境をつくりきれていないけど、これはこれで完成したと思えることのない、終わりのないプロセスだ。
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