タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
ひきこもる50代 80代親「お金なくなれば餓死かも」
「高齢者と未婚の子」世帯が急増
40~50代になってもひきこもる子。それを支え続ける70~80代の親。見えにくい親子の孤立が広がる。過保護や甘えが原因と思われがちな長期ひきこもり。だが目をこらせば、雇用劣化など平成社会の構造変化が背景に透けて見える。
ひきこもり29年目 親子の孤立「このままでは共倒れ」
親亡き後、息子や娘はどう生きていくのか。長期ひきこもりの中高年の子がいる高齢の親たちにとって痛切な課題だ。「誰にも相談できない」という家族のSOSに動かされ、支援の取り組みが動き出す。
親が(O)、死んだら(S)、どうしよう(D)。親の苦悩を、そのまま団体名にした支援組織が7月に発足した。「OSDよりそいネットワーク」(東京都、理事長・池田佳世)だ。12月2日には都内で初の講演・シンポジウムを開き、全国から約90人の親が参加した。
池田は「社会とのつながりがなく『親が死んだら一緒に死ぬ』というお子さんも多い。親が元気なうちに対処を」と呼びかける。家族会関係者に加え、法律家、税理士、不動産コンサルタントなど多くの専門家が協力する。「親亡き後」を見すえた家計・住まいの助言や、孤立防止の訪問サポートなどの活動をしていく。
池田によると、相談をきっかけに、断絶していた親子のコミュニケーションが少しずつ回復する例もでてきているという。
11月の相談会には、神奈川県の女性(74)の姿があった。40代の息子は7年前に仕事を辞めてからひきこもり、昼夜逆転でパソコンゲームに没頭している。会話はほとんどない。
夫と自営の仕事を続けているので、まだ収入に余裕がある。息子には月5万円の「小遣い」を渡し、年金・医療保険料も親持ちだ。だが夫婦が働けなくなったら支援はできなくなる。
働いていても趣味の活動をしていても、頭の隅には常に息子のことがある。
「息子の暮らしがすべて親にぶら下がっている。お金がなくなれば、あの子は何も食べずじっとしていると思う。極端な話、餓死してしまうかも知れない」
名古屋市の家族会「NPO法人なでしこの会」は2014年、親亡き後に残された子のために、「ひきこもりサバイバル」ハンドブックを作った。家事の仕方から生活保護の申請まで、必要な情報をやさしい言葉でまとめた。反響が大きく、会のウェブサイトにも掲載している。同会の親の平均年齢はすでに60代後半。将来への危機感は強い。
ゴミ屋敷の奥に60代の息子
親に依存する同居中年シングル。そんな世帯が抱える将来の「共倒れ」などのリスクについて、臨床社会学者の春日キスヨは10年の著書で警鐘を鳴らしていた。それは続々と現実化している。
一人暮らしと思っていた80代の女性が病に倒れた。支援に入るとゴミ屋敷の奥に60代の息子が暮らしていた。長年のひきこもりで足腰がたたず、介護が必要な状態だった――。大阪府豊中市社会福祉協議会の福祉推進室長・勝部麗子が一昨年、直面した事例だ。
80代の高齢の親と50代の未婚の子の世帯が見守り・支援制度のはざまに落ち込み、相談先すらわからぬままに困窮する。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演したコミュニティーソーシャルワーカーの勝部は、この危機を「8050問題」と呼び、新たな地域課題として提起した。
豊中市では、「8050」世帯を含めた見えない困窮層を支援につなげるため、気になる世帯への「ローラー訪問」に取り組んでいる。
90年代後半、親に依存してゆとりある暮らしを送るパラサイトシングルという言葉が登場した。それから約20年、「8050」世帯の多くは困窮と隣り合わせだ。親亡き後の子世代は、そのまま無年金高齢者になる心配がある。
背景にあるのは社会の構造変化だ。一言で言えば、ライフスタイルや雇用の常識が、昭和と一変してしまったのだ。
平均寿命が延びて老後は超長期化した。70代80代でも子を支える体力気力がある親が増えた。一方、50歳まで一度も結婚したことがない人の割合(生涯未婚率)は、男性で90年の5・6%から15年は23・4%に急上昇した。
バブル崩壊後に急増した非正規雇用やリストラなど若年層の雇用劣化の影響も大きかった。勝部が感じるのは親子の経済力の逆転現象だ。「高度成長期には、現役世代の子どもは高齢の親より経済的に豊かだった。最近はそれが逆になっている家族が珍しくない」。就職氷河期世代が40代を迎え、その傾向が加速しているとの指摘もある。
15年春スタートの生活困窮者自立支援制度の窓口にも相談が相次ぐ。名古屋市の窓口のひとつ「仕事・暮らし自立サポートセンター大曽根」の相談員によると、いわゆる「高齢の親と中高年の未婚の子」に関わる相談は「週に1度」の頻度で寄せられるという。
親の死去後に「3日食べていない」といって窓口を訪れた50代の息子。親子を生活保護につなごうとしても成人である子が面談を拒否するため手続きが難航する例もある。同センターはひきこもりの相談経験がある社会福祉士を配置して対応するが、こうした窓口はまだ少数だ。
国の調査「実態とずれている」
ひきこもりの人の数は全国約54万人。これが内閣府が昨年公表した推計だ。ただし、この数は15~39歳が対象で、40歳以上は抜け落ちている。
リーマン・ショックの08年、当時40代だった息子が退職に追い込まれ、ひきこもったという西日本のある父親(82)は「ウチの子みたいな人はたくさんいるのでは。国の調査は実態とずれている」と話す。
一部自治体の先行調査は、中高年ひきこもりの多さを裏づける。山梨県が民生委員に実施したアンケート(15年)においては、ひきこもりの年代は40代以上が6割を占めた。内訳をみると40代(27・5%)、50代(16・1%)、さらに60代以上も16・8%いた。
KHJ全国ひきこもり家族会連合会の事務局長・上田理香は「ひきこもりは青少年問題から中高年問題に移行している」と言う。40代以上を含めれば100万人を超すという見方もある。内閣府も、40歳以上を対象にした追加調査を実施する検討を始めた。だがすでに「9060問題」、90歳の親と60代の子の課題が生じつつあるという声もあがる。
20~30年先の未来、わが子やきょうだいがひきこもり、孤立しないと断言できる人はいない。超高齢社会では誰もが当事者になりうる問題だが、親の過保護だ、本人の甘えだという自己責任論は根強い。
「社会で支える合意ができていないなかで、親たちはどんどん高齢化していく」。ある親の言葉が胸に残る。かつて介護保険によって介護問題を「社会化」したように、孤立する親子を社会で支える仕組みをつくれるか。ポスト平成に引き継がれる宿題だ。=敬称略(清川卓史)
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