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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
ひきこもり29年目 親子の孤立「このままでは共倒れ」
平成とは 第1部:時代の転機 (1)8050危機
 平成とは、家族の姿が静かに、だが劇的に変わった時代だった。ひきこもる中高年の子どもを支え、老後を迎えても保護者の役割からおりられない。いま、そんな高齢の親たちが増えている。人生100年時代の新たな家族危機だ。

特集:平成とは
ひきこもる50代 80代親「お金なくなれば餓死かも」
 その86歳の男性は、補聴器をつけて最前列で熱心にメモをとっていた。

 元高校教諭。10月に東京都内で開かれたKHJ全国ひきこもり家族会連合会の全国大会に、福岡県から泊まりがけで参加していた。

 長男は47歳。ひきこもりはバブル経済さなかの1989(平成元)年から続き、29年目になる。「あと3~4年の命でしょうが、ひきこもりの解決を考えることが使命。できるだけのことをしてあの世にいこうと思っています」

 深刻さを増すひきこもりの長期・高年齢化。

 長男が心に変調をきたしたのは大学受験がきっかけだ。第1志望の国立大に不合格となり、不本意ながら別の大学に進んだものの、すぐ実家に戻った。以来、バブルの崩壊やIT社会の到来、大震災など、世の中が揺れ動くなか、社会との接点をほとんど持たずに生きた。アルバイトも続かなかった。

 男性の退職金も底をつき、「このままでは親子とも破綻(はたん)する」と思い詰めた。意を決し、4年前、息子を残し賃貸の高齢者住宅に妻(82)と転居。今夏から息子は1人で生活保護を受けて暮らす。

 男性と妻はいまも、受験時の親としての助言がよくなかったのではと悔い、息子の将来に胸を痛める。気をもむのは生活保護切り下げのニュースだ。「40代後半で経験もなければ企業も雇うはずがない。生活保護を打ち切られたら本当に行き場がない」

 まじめで高校の成績はトップクラスだった。「生んでくれてありがとう」。去年の父の日に届いたはがきを、幾度も読み返す。

 高齢者がいる世帯で「親と未婚の子のみ」世帯が、昭和の多数派だった「3世代」世帯の比率を上回ったのは2009(平成21)年。「派遣切り」が吹き荒れ、年越し派遣村が元日紙面のニュースになった年だ。生涯未婚率の上昇、雇用の不安定化など、平成に生じた問題が背景に折り重なる。

 「親がいなくなったら、どないなるんやろ」。京都府の80歳女性はうつむく。40代半ばの息子と2人暮らし。30歳を超えてからほぼ自宅にこもる。「僕をホームレスにするんか」「親やったら助けてくれ」。息子の言葉に追い詰められる。「できひん」と言うと「じゃあ殺してくれ」。

 女性は「市民の会エスポワール京都」(京都府)の交流会で苦悩を打ち明けた。「わたしらのような人がたくさんおるんやなと思って、少し救われました」。同会は40~50代のひきこもりの子と家族を支援するため今春から活動を始めた。代表の山田孝明は「家族だけの問題でなく社会問題だ。あえて『市民の会』と名づけた」と話す。参加者は予想を超す約140人に達した。60代から80代の親たちだ。

 「老老」でも「独居」でもない親子の深い孤立。80代の親と50代の子の世帯の困難という意味で、「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれる。

(敬称略)

     ◇

 清川卓史

 48歳。編集委員。貧困問題、介護保険・認知症などのテーマを長く取材。
 私は今年、助けてあげられず、共倒れさせてしまった。もっと早く本気で取り組めていたらふたりとも死なずん済んだろうか、と今も自問する。
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