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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
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 依頼されているレクチャーのドラフトができあがった。日本のビジネス文化の特徴、仕事やキャリアに対する価値観の違いを踏まえた上で、どう育成に動機付けてきたか、というストーリー。
 話す内容自体は自分の得意分野だが、話す相手が日本だけでなくアジアパシフィックの各国で事業責任を負っている事業部長(出身国もかなり多様)なので、反応がどうかというところが楽しみでもあり不安でもある。

 日本と欧米、日本とアジアパシフィックのビジネス文化ということを考えていた数日間なので、この講演録は自分にすごくヒットした。

 読み物として講演録を読むだけで十分に面白い。頭脳明晰だし、ユーモアもあって喩え話もうまいし、メッセージが明確。

Road to CEO
ルイ・ヴィトン ジャパン カンパニー 
プレジデント&CEO 藤井清孝氏
(1) 自分で価値をつくっていかないと明日はない

(2) 日本のM&Aは「売り買い」ではない

(3) V9の頃のジャイアンツが強かった理由
司会、山中(以下Y)(中略)…… SAPに5年半いらっしゃる間、売り上げを3倍に急成長させました。いろいろな業種で、きちんと成果を出してこられる方は、経営の黄金パターンをお持ちじゃないか、と思うんですが。

 黄金の法則ナンバーワンは、「波があるところで波乗りをやる」ことです。いくら優秀な経営者でも、波がないところでは波乗りできません。それには運もありますし、波を察知するのもその人の能力です。例えば織田信長や豊臣秀吉、徳川家康というのがいっぺんに出てきたというのは意味がある。イタリアのルネサンスも同じだけど、時代が要請するとき、人がばっと出てくるわけです。

 そういう意味で、会社、業種を選ぶのは大事だと思います。オポチュニティーを察知する力ですね。事業の新規参入も同じです。自分がやったらどんな事業も成功するというのはあり得ないので、いい事業を選んで、いいマネジメントが付くから成功する。

 もう1つ、会社の文化はすごく大事。文化がしっかりしていると、いい人が集まってくる。マッキンゼーでは、できる人だって文化に合わない人はすぐクビになるんです。なぜかというと、必ずまた人が来るわけですが、いい人がその(文化に合わない)人に会社として人質に取られないようにするためです。

 いい人材を集める仕組みというのは小手先じゃできなくて、文化がないとできないし、そういう文化のある会社は非常に強い。(文化に基づいた)チームを作れる社長はものすごく大きな仕事ができます。

司会、秋山(以下A) 文化ってとても難しい言葉ですが、価値の基軸がはっきりしていて、それが社会に受け入れられる、という感じでしょうか。

 うん。それと、人を大事にするとかね。例えば、皆さんとは世代が違うけれども、私の育ったV9時代のジャイアンツは…今のジャイアンツみたいに、お金で大砲ばっかり採ってきた会社は、ものすごいお金がかかって、それなりの玉がごろごろいるんだけれども、勝てないね。V9のころって、常に同じメンバーで戦っている。そのときのメンツで、ほとんどの人はその後に監督になっているんです。

A 長嶋、王、森がいますね。

 そう。OBがほとんど監督になっているチームって他にないと思う。それだけ個々の選手でありながら、全体のチームを見られるだけのトレーニングを積んでいた。

Y なるほど。

 いい文化というのは根付くんです、人が辞めない。お金で採ってくると、もっと高く払う人に、その人を採られちゃうわけです。それは必ずコストが高くなるスパイラルに入っていきますからね。

 いいインベストメントバンクというのは高い給料は払うけれども、「こういう人は採らない」という暗黙の了解がある。ところが新興のインベストメントバンクは、「とにかくスターを採ってこい」と。全員給料が高いし、いろいろなカルチャーを持ってきて、なかなか統制がつかない。そのうち、新しい会社がその人を抜きに来ると、金で動いているからみんな必ず出ていく。そうすると、いつまでたってもカルチャーができない。


 まったくその通り。今回の自分のレクチャーのキモはまさしく、「金や昇進だけではいい人材は集まらないし育たない。働き甲斐とか成長する実感とか、目に見えないインセンティブを駆使して人を育てる文化をつくりましよう」だもの(^^)。

(4) 退路を断たねば、人も波も見えない
司会、山中(以下Y) 最初はマッキンゼーからスタートされてアメリカ企業、ドイツ企業、フランス企業と、次々国籍が変わってきていますよね。

 国ごとの違いは、非常にあるんです。ところがドイツの会社であるSAPに行ったときに、「俺たちはドイツ人だ。ドイツらしさで頑張ろう」と言う人は1人もいなかった。(フランスの)ルイ・ヴィトンの中にいても、「フランスらしさを世界に売りまくろう」と言う人は誰もいない。日本の会社は結構あるんです、「日本人の企業のいいところを分からせよう」とか。それは、非常に危険な考え方だと思うんです。

 例えばSAPは「いいソフトウェア、いいITシステムを効率よく使ってもらいましょう」、ルイ・ヴィトンは「夢を売りましょう」と、国境を越えた価値を言っている。ところが、「日本人らしさを売りましょう」と言った途端に、日本に興味がない人はばっと離れるわけです。その辺が下手だなと思う。

必要悪としてのアングロサクソン型市場原理
 フランス独特のラグジュアリー感覚、ドイツ独特のエンジニアリングカルチャーというのは、コアコンピタンスとしては絶対あるんですよ。ところがそれは、ドイツやフランスがコアコンピタンスじゃないんです。日本人はその辺を間違えている。

 日本人のコアコンピタンスって、顧客志向とか品質志向ですね。これを言うと、韓国人だってアメリカ人だって、「そうだな」と思う人は寄ってくるわけです。それを日本の特徴と言ってしまうと、日本が嫌いな韓国人は絶対入ってこない。グローバルで優秀な人材が集まらないグローバルカンパニーは絶対廃れるんです。

司会、秋山(以下A) 正しいですね。ただ、日本企業がもう一歩グローバルに行けない理由って、やっぱり言語の問題も大きいんでしょうかね。

 すごく大きいと思います。韓国や中国で元気のいい会社を見ると、だいたいトップは英語をしゃべります。特に中国は、アメリカの学校へ行っていた人たちが帰ってきているみたいな構図だから、アジア人でありながら、OS(オペレーティング・システム)はアングロサクソンに似ているんです。

 日本だけOSが違うものだから、昔はそれでも結構世界を席巻していたからいいんだけど、今となってはアジアの中でも特殊ですね、言葉だけじゃなくて、必要悪としてのアングロサクソン的な市場原理を分かっていない。分からなくても成功してきたというのはラッキーではあるけれども、これからどんどんハンディになってしまいます。


 ここが特にずきーんと来た。一方で日本市場や日本人の特殊性ばっかり言っていると、韓国や中国や東南アジア諸国出身のマネジャーが他国で活躍している状況で、日本人マネジャーが他の国で事業部長できるほど育っていない現実に突き当たる。

 「これからどんどんハンディになってしまいます」というひと言が、ひりひりとする。

 連載の最終回が楽しみ。

 私もアジアパシフィックのマネジメントチームと接点を持つことで、もっと日本人をグローバル環境に出す仕組みづくりのきっかけにしたい。
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