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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
 今日は研修の立ち会い。年に一回、平日以外に行われる研修で、今年で4年目になる。

 参加者は、医師や薬剤師など医療従事者や一般の患者さんなどからの問い合わせを受け付ける(今日聞いたら、警察からの問い合わせもあったそうだ^_^;)、いわゆるコールセンターの従事者(正社員・派遣社員)。講師は、初回からずっと担当してくれている、カウンセリング経験も研修講師としての経験も豊富な臨床心理士さん。元気を分けてくれるような人で、私は立ち会いで参加するだけなのだが、心理学の勉強もさせてもらいながも元気を分けてもらっている気がして、毎年楽しみにしている。

 この研修が始まったきっかけは、去年定年退職された前任のマネジャーからの依頼だった。コールセンター立ち上げから半年後だったろうか、一般的なコールセンターの研修というと電話応対スキルのようなものが中心になると思うのだが、そういうスキルを身につけた人を対象にして心のケアをして欲しい、というようなものだったと記憶している。

 コールセンターへの電話は、製品に関する問い合わせに限らない。メーカーとして対応できないレベルの要求をしてくる人もいれば、憂さ晴らしや八つ当たりや嫌がらせを目的としているとしか思えない電話もあるらしい(今日も、エグい実例の話を聞いた……)。そういう電話を受ける人は、対応を誤ると大事になるので神経を使い、年に何度かは心理的に外傷を受ける。そして、仕事の性質上、日常的に会議を持つのも限られていて、個々の体験を話す機会も少ない。特にコールセンターを立ち上げた直後は、製品や病気について知識はあっても、ややこしい顧客に対応するノウハウを持たなかったために、ストレスで悶々とする状態だったらしい。

 臨床心理士さんを呼んで行う一日研修の目玉は、「デブリーフィング」。心理的に外傷を受けた出来事を整理せずにおくと、その体験にまつわる感情や気持ちがさらにからまって、類似の体験をした時にさらに深く傷ついたり、電話を取るとまた傷つくのではないかと怖れるようになったりするものだそうだ。その状態を防ぐために、心理的外傷を受けた出来事について言葉に出し、気持ちを口に出し、その時に受けた感情に「名前」をつけて整理して棚にしまう。そうすることによって、人はその体験から受けた心の傷を癒すことができる、そうだ。

 このデブリーフィングの時間には、私たち研修担当者や上司であるマネジャーは同席しない。同じ立場にある担当者だけで、ため込んだ気持ちを吐き出し、傷ついたり怒ったりした気持ちを共有し、気持ちを整理して明日への活力を蓄える。どんな話がされているかは知らないが、室外にいる私たちに時々笑いも聞こえてきて、決して暗いだけの時間帯ではないようだ。

 コールセンターに携わる人も年々増えて、担当替えもあったりして、4回の研修すべてに参加している参加者はたったひとりになってしまった。でも、一回受けた人は毎年楽しみにしてくれているようだし、今年初めて受けた人は「こんなに楽しい研修は初めて」と嬉しいことを言ってくれた。そして何より、デブリーフィングが終わった後で研修室に戻ると、明らかに空気は一層和やかな連帯感に包まれていた。たった1時間半で、どれだけ参加者の皆さんがリフレッシュされたかが伝わってきた。

 来年も、また実施したいものだ。

☆★☆★

 参考に。

日本トラウマティック・ストレス学会
『危機介入としての「デブリーフィング」は果たして有効か?』
『災害救援者へのストレスケア』

目黒臨床心理士オフィスセルフ・ディブリーフィング
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