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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
 興味があって読んではいるが、自分の展開する研修プログラムと例に挙げられる研修プログラムの間に乖離があって、どうも首をひねってきた連載記事。

自己啓発の謎 使い道のない「スキル研修」に何故みんな集まるのか
 スキル教育を実りあるものにするには、研修を行う前に、スキル習得の「目的・使い道」を明らかにしなくてはならない。「やることが目的」から脱却して、スキル習得の目的を経営課題の実現におくのだ。これは簡単なことではない。なぜならば、経営的視点が求められ、社員本人や人事担当者だけでは完結しないからだ。経営者、現場の上司との連携が不可欠になる。

 「スキル習得は自主・自立の精神に基づき社員本人が考えること」ではなく、人事・研修担当者が組織や権限の壁を越えて現場の上司と協力して、課題達成を念頭に置いた明確な目的と役割を示すことが大事だ。例えば、部品メーカーの開発部主任のBさんに対して、「A製品群の開発納期を20%短縮するために」、「プロジェクトマネジャーをやってもらうので」、「プロジェクトマネジメントスキルを習得してもらう」といった具合だ。

 さらに、スキル研修後には、課題達成に向け、スキルが定着化しているかフォローすることも必要。この責任は現場の上司にある。部門目標達成の責任者としてスキル定着化はひとごとではない。研修後のアンケートの良し悪しは受講者の反応を知る上で大事だが、もっと大切なのはいかに目標達成に向け実務に活用しているかだ。


 今回の記事の主張には同感。基本的に、自分は幹部育成目的のリーダーシップ・マネジメント研修以外は、事業部・部門とのパートナーシップの下に、業務におけるスキルを向上する具体的な目標をもって研修を設計し、提供している。

 全社員に対して公募型の研修は、今のところ、通信教育と、外部の英語学校に通学する費用の補助だけ。外部のビジネススクールなどの講座にも自己啓発目的の受講を補助してあげたいところだが、全社員に費用を補助するほどの予算もないし、効果のほどが見られないので、対象を限定して会社費用を提供することにとどめている。

【研修前の問題】

研修担当部門は、「従業員の自主・自立」という観点のみからメニューを揃えるだけで、選択は個人任せになっている。業務目標の達成とスキルの習得が連動していない。
社員は、具体的な目的や使い道がないままに、自分の興味や、将来何かの役に立つだろう、という漫然とした期待でスキル研修に参加し、スキルを得られただけで満足してしまう。
現場の上司は、しっかりとした動機づけや意味づけもないまま、部下を研修に送り出している。


【研修後の問題】

研修担当者は、研修直後のアンケートの良し悪しだけを評価の判断材料とし、研修後にスキル定着化に向けた支援にまで手が回っていない。
現場の上司が、研修は研修、実務は実務と、割り切ってしまって、積極的に仕事に活かすフォローをせず、活かすも殺すも参加者任せにする


 7~8年前にイギリスから人材育成担当者向けの研修を受けた時、Pre-Event、Event、Post-Eventという考え方を教えてもらった。研修はただ提供するのではなく、Pre-EventとPost-Eventを事前に設計して初めて効果が出るということを実感している。

 欧米では研修効果をROIで測定するやり方もあるそうだが、個人的にはROIを測定する意味のある研修はまだまだ多くないと思う。ただ、研修前に目的を特定し、研修後に研修で学んだ内容を発揮できる環境を用意し、受講者の行動変容を測定するプロセスは意識している。

 今回の連載記事は、挙げられた例はともかく、賛同できたかな。
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タレントマネジメント(人材開発・組織開発・パフォーマンスマネジメント・採用など)のスペシャリスト。
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