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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
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『人事と出世の方程式』永井隆(日経プレミアシリーズ)


 最近出た新書。

 成果主義か能力主義か実力主義か、昇進と昇給の決定要因を同じにするのか違うものにするのか、主に日本企業の現状をドキュメンタリー風に紹介する。もはや年功序列には戻れず、かといって成果主義を導入した時にさまざまな問題が出た(外資系に勤める自分は、それは成果主義自体の問題ではなく、成果主義を結果主義と単純にとらえたり、目標の難易度を考慮せずに目標達成度を評価尺度にしてしまう未熟度が問題だと思う)ものの職能資格にも戻れず、どうするかという給与・昇進のシステムをどうするか。

 また、35歳前後で幹部候補・経営職候補を選抜し始める大学新卒の長期雇用・年次管理という仕組みが機能しにくくなっている今、女性や外国人を含めたダイバーシティへの対処と幹部登用とをどう両立させるか。

 現状のレポートで、特に目新しいものはないが、いくつかの業界での現状を理解するには手頃な読み物だった。
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 「先を越された」と思った(苦笑)。私が昨年退職した会社で5年間やってきたアクションラーニングに関して、筆者がTOTOで実施した経営スクールの体験をドキュメンタリー風に書いた本だからだ。アクションラーニングの「ア」の字も出てこないが、10年前から日本企業でこれだけ真剣にアクションラーニングに取り組んでいた先達がいたということを知って、頭が下がったとともに、その体験談の生々しさが自分の実感としてもわかった。

 アクションラーニングについては、私は昨年末まで勤めた会社で階層の異なる層にふたつの研修を提供し、10セッションほど運営している。記事は、ふたつのうちのひとつについて2本書いている。
営業部門の若手幹部候補を発掘・育成する
1年後も2年後も効果を語り継げる研修
 ただ、こちらは若手層を対象にしたプログラムなので、上記の本の中にあるような、経営陣を揺さぶるほどのレベルではない。もうひとつ、部長級で執行役員・事業本部長候補になり得る経営幹部に対して行ったアクションラーニングでの体験は、この本に紹介された実話に見られる経験と、きわめて似ている。

 特に、縦割りの機能別組織の中からは出てこない全体最適の考え方・特に仮説検証のプロセスをいかに個々人の腹に落ちるようにするか、という課題の難しさとブレークスルーを体験した参加者の変わりようは、すごくよくわかる。

 経営幹部育成を手がけている人材開発の専門家には必読だろう。座学と実務を結びつけた上で、現状の事業や組織の枠組みを超える仕組みを創造する経営幹部候補をどうやって育てていくのか、その過程におけるチャレンジや難しさ(参加者の中には挫折する人もいる)を理解できる。
プロフィール
HN:
まりあっち
性別:
非公開
自己紹介:
タレントマネジメント(人材開発・組織開発・パフォーマンスマネジメント・採用など)のスペシャリスト。
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