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タレントマネジメントスペシャリスト"まりあっち"のブログ。
NHK特設サイト ひきこもりクライシス"100万人"のサバイバル
 1980年代に「不登校問題」として社会問題化し、2000年代にかけて大きくクローズアップされた「ひきこもり」。いま、新しい局面を迎えている。長期化・高齢化が深刻化しているのだ。40代、50代のひきこもりの人が、高齢の親と、経済的、精神的に追い詰められ、孤立死する事態も起きている。一方、ひきこもりの当事者や経験者らが、みずから声を上げ、社会に向けて積極的に発信する動きも、目立つようになっている。超高齢社会に入った日本の「ひきこもり問題」、家族のありようを見つめ直す。(サイトは随時更新していきます)
 国の推計で、54万人とされるひきこもりの数。実はこれは、39歳以下の数字で、40歳以上の実態はよくわかっていない。しかし、全国のいくつかの自治体が独自に行った調査結果から推計すると、40歳以上のひきこもりは、100万人近くいるのではないかという見方もある(潜在群を含む)。高齢化したひきこもりの子どもが、さらに高齢の親とともに、経済的、社会的に孤立を深めている問題は、親と子の年齢から「8050」問題とも呼ばれ、深刻化している。

 去年、「8050」問題の一例である弟と母を相次いで失った私が一番感じたのは、頼る手段がないということだった。母にはわずかながら年金があり、介護支援サービスを受けられたので週一回の支援サービスにも助けられた。
しかし、社会的ひきこもりで経済的に自立できず、また10年以上精神科を受診しているものの、その間にアルコール依存症由来の問題が起きたりなど好転の目処が立たず、孤立して自死してしまった弟には、社会的に問題解決を協働してもらえる手段がなかった。最後は精神科入院の移送も考えたが間に合わなかった。

 だから、あちこちで孤立し、自壊していく「8050」家族がいるであろうことは想像に難くない。

 どうしたら弟と母のようにならずに生きていけるのか。
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ひぃぃ……クロ現やってくれる。

「絶望しかなかった」クロ現のアラフォークライシス特集第二弾がつらい 自立できない兄弟と共倒れになる「きょうだいリスク」にも言及
NHKが6月4日放送した「クローズアップ現代+ アラフォー・クライシスⅡ」に、大きな反響が上がっている。同特集は、昨年12月に放送した「アラフォー・クライシス」に引き続き、アラフォー世代の賃金格差や、高齢化した親と独身のアラフォー世代が同居する「7040問題」などを取り上げた。

今回の放送では、前回の放送では取り上げなかった結婚や出産の問題と、自立できない兄弟を支えることで共倒れになる「きょうだいリスク」を特集した。

婚活に50万円以上費やすも相手が見つからない43歳女性

ある43歳の女性は、「40歳を迎えるまで、結婚を考える余裕はなかった」と語る。1996年の短大卒業後、月収17万円の自治体の臨時職員として保育士になった。1年後に正職員になれたものの、「やっとの思いで就職したので絶対やめるもんか」という気持ちで、スキルアップのための勉強や残業に追われていたという。

現在は3つの結婚相談所に登録し、婚活に50万円以上を費やしているが、相手は30代の女性を希望することが多く、良いパートナーには巡り会えていない。

「仕事も選べる立場じゃなかったし、今となっては婚活も選べる立場じゃなくなってきて、早くしなきゃ早くしなきゃって、本当に疲れちゃった感じです」

2000年から2015年にかけての未婚率の増減は、世代別に見ると最も高いのが、40歳~44歳(11%増加)、次いで高いのが35歳~39歳(9.4%増加)と、アラフォー世代に集中している。未婚率が高くなれば子どもの数も少なくなる。

アラフォー世代の子どもたちは、アラフォーの親、アラフォー世代と比べ大幅に少なく、番組に出演していた社会福祉士は、「年金や税金など、高齢者を支える原資を払う人が減少傾向になっていることは極めて深刻」だと指摘していた。

「アラフォーだけの問題じゃなく、日本社会も詰む」
氷河期世代を新たに襲う困難として、番組では「きょうだいリスク」を挙げていた。生活力・経済力の乏しい兄弟を、裕福ではない別の兄弟が支えることで、共倒れになるリスクのことだ。

ある40代の男性は、正社員で就職するも、33歳で会社が倒産し、以降非正規で働き続けている。50代の兄は、認知症になった70代の母親の介護のために仕事を辞め、現在は母親の年金に頼って生活しているという。

男性はアルバイトを4つ掛け持ち、母親と兄を支援しようと必死だ。母親の介護が終わった後、無職の兄を「お金の面でサポートしてあげたい」という思いはあるものの、「限界はある。(先は)リスクしか見えない」とこぼしていた。

民法では、兄弟の扶養は義務ではない。そのため、経済的に余裕がなく、兄弟を扶養するのが困難なときは「世帯分離をして生活保護を適用するのも方法の1つ」(番組に出演していた社会福祉士)だと言う。

ネットでは「正直、明るい未来を感じたことないな。安定という言葉だけが光り輝いてた」「アラサー独身だけど怖くて見れなかった」「見てるだけで鬱になる」と、過酷な現状を突きつけられ、戸惑う人が多かった。5ちゃんねるでも多くの書き込みがあり、

「アラフォークライシスって言うとアラフォーだけの問題と思われがちだけど、日本の社会も詰む事があまり理解されてないな。バブル入社やゆとりの子や孫の世代がツケを払わされていくが、自分たちのことしか考えないことが自分たちの将来を一番絞めることになってる。過去には何とかできる局面もあったがもうどうにもならないところまで来てるね」
「なんか希望があるかと思って見たけど絶望しかなかった」

と、諦めのコメントも少なくなかった。

 自分が結婚しなかったのは生涯賃金と結婚・子供を産んで育てる費用のバランスに加えて、弟を不要しなければならなくなるリスクと費用を考えたから、ということもあった。
 私が家族で最後のひとりになったのは結果論でしかない。
父が亡くなった後の母の年金収入も似たり寄ったりだったので、がっつくように読んだ。

年金13万円、生活苦に悩む高齢者たちの実情生活保護を受けることすらできない
 2015年9月、厚生労働省は納めた年金保険料に対し給付額がいくらになるかを世代ごとに試算した結果を発表。それにより若年世代は現在受給している世代と比べ、大幅な減額を余儀なくされるという、「世代間格差」が存在することが判明した。
将来に悲観的にならざるをえない若年層に対し、現在年金を受給している人たちはある意味「勝ち組」ともいえるかもしれない。
しかし、現実には生活保護で支給される額よりも少ない年金を頼りに、ギリギリの生活を送る日本の高齢者たちの姿があった。「こんな状況で介護が必要になったら、生活が成り立たなくなる」そんな恐怖におびえながら日々を過ごす人々の実態を追う。
年金が足りない高齢者の悲鳴
ある都営住宅の一室。一人暮らしの高齢者5人が集い、こたつを囲んでお茶をすすっていた。今日の天気からはじまり、孫のこと、病気のこと、話題は尽きない。ニュースで取り上げられている「年金」について1人が切り出した。

「これ以上年金を減らされたら、私たちの生活はどうなっちゃうの?」

「テレビや新聞で年金の話題が取り上げられても、内容が難しくてさっぱりわからないよ」

ただ、1つだけ理解している点は、受け取る年金は将来にわたって減らされるということ。長生きすればするほど、生活が苦しくなる。笑い飛ばしていても、目つきは真剣だ。

「消費税が上がってから、何を買っても高くつくので、食べ物や生活必需品以外は本当に買わなくなりましたね。洋服も以前は、お店の前を通ったら『あら、これいいわね』と、毎シーズン1つは新しいものを買っていましたが、新調しないでなるべく着まわししなくては。外出しても何も買わないでまっすぐ家に帰るようにしています」

日本年金機構から毎年送られてくる「ハガキ」を片手に深いため息をつくのは、都営住宅に住むフサエさん(仮名、77歳)。定年退職後、年金をもらいながら趣味を謳歌する……そんな悠々自適な生活を思い浮かべながら、現役時代は必死に働き続けた。ところが、いざ年金を受け取ってみると、あまりの少なさにショックを受けた。

夫が15年前に他界してからは一人暮らし。嫁いだ2人の娘たちが時折、フサエさんの様子をうかがいに訪ねてくる。定年まで企業の食堂などで働いたので、夫の扶養には入らず厚生年金に加入していた。現在、月に受け取る年金額は厚生年金と国民年金などを合わせて約13万円。「長年働いた割には少ない」というのが実感だった。女性は男性よりも賃金が低いため、支払う年金保険料が少ないからだ。

月々の生活で出費のウェートを占めるのは食費と光熱費、そして医療・介護費。フサエさんは糖尿病の持病があり、入退院を繰り返している。要介護度は7段階でいちばん軽い要支援1。週に2回、デイサービスに通う。3年前に転倒して足を骨折したときの後遺症でリハビリを行うためだ。歩行が困難になりシルバーカーを押しながらやっとの思いで歩いている。このほかに、定期的に内科と整形外科に通う。医療費は薬代を含めて1割自己負担で月5000円程度。介護保険のサービス利用料も同様に1割負担で約5000円。そして、ガスストーブをつけて暖を取る冬場の光熱費は1万4000円にもなる。

「年金生活に入ってからは家賃の減免申請をしたので1万1600円。光熱費、医療費、介護の費用が何かとかかるので、貯金を切り崩しながら生活しています。生活はいっぱい、いっぱいですよ。これから先、今まで以上に病院や介護のおカネが必要になったらどうしようと不安になります」

「娘たち? 孫の教育費やら何やら、娘たちにも生活があるのでアテにできませんね。年金で生活できなくなったら生活保護に頼るしかないわね」

お茶をすすりながらフサエさんはため息混じりに語った。  

定年まで働いたのにもかかわらず、余裕がない生活を余儀なくされているのは、もらえる年金が少ないから。ひとたび病気や介護をきっかけに費用の負担が増えれば生活が成り立たなくなる……。介護破産“予備軍“の1つはフサエさんたちのような、年金受給額が低い高齢者たちだ。

安倍政権の容赦ない「年金カット」
日本の公的年金制度(厚生年金と国民年金)は、現役世代の保険料負担で、高齢者世代を支える「世代間扶養」の考え方を基本として運営されている。しかし、少子高齢化が進むなかで、現役世代が納付する保険料のみでは年金給付を賄いきれなくなっている。

現役世代6713万人の保険料収入は37兆6000億円。これに対して、年金受給の高齢者は3991万人で給付総額は53兆4000億円(いずれも2014年)。保険料収入よりも給付額が上回っている状態だ。給付額の不足分は、国庫(税金)から補塡し、さらに保険料の一部を「年金積立金」として保有して、一部を運用しながら切り崩している。

国は年金制度を維持するために、制度改正を何度も行っている。2004年に、自民・公明連立政権下で「年金100年安心プラン」と題し、今後100年間、年金の受取額は現役時代の収入に対して最低50%を保証するために、年金制度の改革が行われた。その1つが、「マクロ経済スライド」だ。

理解を深めるために、ここで年金について、もう一度、おさらいしよう。そもそも、年金額は物価や賃金の変動に応じて、毎年改定されることになっている。物価が上昇すれば年金額も上がり、下降すれば下がる「物価スライド」が導入されている。ところが、「高齢者の生活の配慮」を理由に、2000年度から、当時の自公政権が物価スライドを凍結させた。物価の下降に合わせて年金額を減額すべきところを据え置いたのだ。

このため、本来もらうべき年金額よりも多くもらっていた受給者は適正額に戻すために、2013年10月から1%、翌14年4月からさらに1%減額され、2015年4月にも0.5%下げられた。

「もらいすぎ」が解消されれば、物価や賃金が上昇すると、その分年金額も上がることになる。その伸びを抑える役割を果たすのが、「マクロ経済スライド」だ。2015年度、厚生年金を受け取る夫婦二人世帯のモデル世帯は、前年度より4453円プラスの月22万3519円もらえるはずだった。ところが実際の受給額は月22万1507円。マクロ経済スライドにより、2012円減った。しかし、この額はあくまでもモデルであり、年金受給者3991万人のうち、約4分の1が生活保護の基準以下で生活する”隠れ貧困層”といわれる。自営業で国民年金にしか加入していなかった人や、フサエさんのように長年働き続けていても低賃金だったために、支払われる年金額が少なかった人もいる。

そんな”隠れ貧困層”を直撃するのは、2016年末の臨時国会で成立した「年金カット法案」だ。現在導入されている「マクロ経済スライド」は、デフレ下では発動されないため、将来的な物価上昇の見通しが立たない現状では、年金支給額の抑制が厳しい。そこで、デフレ下でも年金の支給額を抑制できるように、「物価と賃金の低いほうにつねに合わせて年金を下げる」という仕組みを盛り込んだ改正国民年金法が2021年4月から実施される。

2016年12月下旬、厚生労働省が公表した試算によると、物価上昇率が1.2%、経済成長率が0.4%のケースでは、高齢者への年金支給額は新ルールを導入しない場合と比べて2026年度から2043年度まで0.6%減る。民進党が公表した試算では、国民年金は年間4万円、厚生年金は同14万円も減るという恐ろしい結果が出ている。今、ぎりぎりで生活している高齢者たちは、生活が立ち行かなくなるのは目に見えている。

「おカネがなければ死ぬまで働け」
一般的に会社を定年退職したあとに、健康保険組合から国保に移る。年齢とともに病院に通う人が多くなるので、高齢者の加入率が高い国保は、その分保険料を上げないと医療費を賄えない構造になっている。国保の負担増も高齢者にとってかなりの痛手だ。

東京都に住むシンジさん(仮名、67歳)も年金カットと国保の負担増で悲鳴を上げている高齢者の1人。現在、年金を受け取りながら運送業のアルバイトで生計を立てている。

「アベノミクスの影響で、株で儲かった人もいるようですが、私たちには関係ない話だね。年々、仕事が減って、最近の手取りは年100万円程度でした」(シンジさん)

シンジさんの年金は年間約60万円。長年、自営業を営んでいたため厚生年金はない。60代で店を畳み、アルバイトをはじめた。同い年の妻は腎臓が悪く、定期的に病院に通い人工透析を受けている。ほとんど寝たきりの状態で要介護度は2番目に重い「要介護4」。排泄は自力でなんとかできても、家事は一切できないため、シンジさんが妻に代わって一切を行っている。そして、ひきこもりで働くことができない娘(30代)の3人で暮らしている。

妻の年金はすべて妻自身の医療費に消える。所得税と住民税は非課税に該当しても、年13万円の国民健康保険料の支払い義務はあった。

「兄一家と同居しているので、家賃の負担がないのが幸いですが、国保の保険料と光熱費を差し引くと手元には月10万円しか残らない。家族3人で食べていくのが精いっぱいですよ」(シンジさん)

東京23区の保険料は住民税を基に計算されていたが、2013年度より所得から33万円の基礎控除を差し引いた「所得」が算出のもとになった。変更後は、扶養家族や障害者・寡婦などの控除が適用されなくなり、一部の世帯では保険料が上がった。シンジさんに限らず、年収が少なく家族が多い世帯の家計を直撃した。豊島区を例にとると、年収200万円の年金受給者夫婦二人世帯では、年6万3840円から年8万5886円と、約2万2000円上がった。シンジさんも以前と比較して2万円の負担が増えた。

「世の中の人は『もっと働けばいいじゃない』と思うかもしれませんが、妻が病院に行くときは私が付き添い、普段も食事の世話をしなければならないので、働きたくても働けない。1カ月のうち10〜15日が限界です。それに私だって高齢者なので、現役世代のようにもっと働けといっても体がいうことを聞きませんし、これ以上は無理ですよ」

シンジさんは自分が病気で倒れたときのことを考えると背筋が凍るというが、なすすべもない。住居は持ち家の扱いなので、基本的に生活保護の受給対象にならないからだ。

”持ち家”が足かせになる
「首から上は元気なんだけどね」と笑うのは、埼玉県に住むスミコさん(仮名、79歳)。

60代でリウマチにかかり、10年前に頚椎の手術を受けた。歩行が困難で買い物を含めて家事のほとんどは夫(80歳)が行う。

「トイレが近くて夜中に何度も起きるのが嫌で、あまりお水を飲まなかったら去年の夏に熱中症になりかけちゃって。猛暑日が続いても電気代がもったいないから、クーラーをつけなかったのが、よくなかったのかもしれないね」


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節約するのにはワケがある。夫との年金は2人合わせて約15万円。持ち家なので家賃はないが”老後”のために生活費を抑えて少しでも貯金に回している。

“最後のセーフティーネット”といわれる生活保護受給の条件は、①現在手持ちのおカネがわずかな状態、②すぐに現金化が可能な資産を持っていないことなどだ。単身世帯に支給される保護費は、東京23区で月13万円程度。所持金が13万円を下回っていれば、受給の対象になる。

また、②の現金化可能な資産については、自宅、車、保険などが対象とされている。例外もあるので詳しい情報は住む自治体の社会福祉事務所に確認をする必要があるが、一般的に持ち家は資産と見なされるので、低年金でも持ち家があると生活保護が受けられないケースが多い。前出のシンジさん一家や、スミコさん夫婦は、生活に困窮していても生活保護の対象外になる。

夫婦に子どもはいない。夫はまだ一度も大病を患ったことはないというが、すでに80代。いつまでもこのままの生活が続くとは思っていない。

「万が一、夫が私よりも先立つようなことがあったら、どうしよう……」

スミコさんの苦悩は尽きない。

(登場人物の年齢、肩書は2017年4月時点)

 母の場合は父から受け継いだ持ち家に住め、わずかながら駐車料に貸していたスペースがあったので、駐車場収入と私の仕送りを足して、少しずつ貯金を切り崩していけた。

 でも私の代には年金収入もっと当てにならないだろう。細々とでもひとり株式会社で事業収入を得て、敷地の一部をやはり駐車場として貸して現金収入を確保し、確定型の年金と貯蓄を少しずつ切り崩して、と目算は立てているものの、自分の健康も含めて不確定要素がある。。
ほんのわずかな期間にふたりの家族を亡くしたことが、一年たった今でも心身にこたえる。気がついた時にはどうにもならず、悔やんでも詮無いのだけれど。

日本ヤバイ。我が国が抱える爆弾「8050問題」を知っていますか?
2018年度に新たに総額13億円の来年度予算案を計上し、さらに力をいれなくてはいけない状況になっている「ひきこもり施策」。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、我が国が直面している深刻な「8050問題」について解説しています。

8050問題
厚労省は2018年度、「就労準備支援・ひきこもり支援の充実」費として、新たに総額13億円を来年度予算案に計上した。国の「ひきこもり施策」の方針は、2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法を法的根拠に、若者自立支援から福祉施策へと切り替わりつつある。施策の窓口となっているのが、同省の社会援護局だ。支援事業は、主に4つの柱で成り立っている。

その柱の1つは、引きこもる人や中高年齢者などのうち、ただちに就労を目指すことが困難で、家族や周囲との関係が希薄な生活困窮者に対し、家庭訪問(アウトリーチ)などによる継続的な個別支援を重点的に実施するという「就労準備支援事業」だ。

この事業は、就労体験先を開拓、マッチングする自治体の取り組みも推進するというもの。国が3分の2を補助するらしい。

大塚 「最近、ちっとも求人が来なくて、顧問先様たち、困ってるわね~」

深田GL 「働き方改革とかいっているのに人がいないと時間外労働も減らせないねぇ~」

新米 「そうですよね~」

E子 「人に困っている会社は多いですよね。うちだって良い人がいたら、ホントはもっとほしいですもんね」

所長 「一方では、就職未然の若者も多い…」

新米 「ん? どう言う意味ですか?」

所長 「学校を出たのに、就職しないでいる人達も多いってことだよ」

新米 「そうですね。ニートにフリーターに…」

大塚 「フリーターは働いている人のことだから、ニートとは違うでしょ」

新米 「あ、そうか。すみません」

所長 「昔は、トライアル雇用助成金の対象者は30歳未満だったのに35歳未満になって、40歳未満になって…そのうち高齢者トライアルができて、年齢制限までなくなって…なんだよ」

新米 「え? そんな風に変わっていったんですね」

大塚 「トライアル雇用はニート対策の助成金ですね」

E子 「日本では35歳以下のニートを『若年ニート」。35歳以上のニートを『中年ニート』と定義して呼び始めているそうよ」

大塚 「35歳で住み分けをしているんですね」

E子 「っていうか、もともとニートの定義は、15~34歳の非労働力人口の中から、専業主婦を除き、求職活動に至っていない者と定義されていたそうよ」

大塚 「だから、35歳で線引きがあるんですね」

深田GL 「要は、ひきこもりの長期化、高年齢化が深刻になってきているってことですよね?」

所長 「ニートという言葉が使われ出したのは、日本では、2004年。2003年に厚生労働省所管の特殊法人である日本労働研究機構(現在の労働政策研究・研修機構)が若者就業支援政策の国際比較研究の中で『ニート』という用語を用いて、イギリスでの若者支援政策を紹介し、翌年の2004年に、同研究員の玄田有史が、『ニート ─ フリーターでもなく失業者でもなく』を発表したのがきっかけだそうだよ」

E子 「ニートという言葉が流行ったのは、2004年。ってことは、今から14年前。平成16年ですね。その頃、20歳だったニートが今では34歳。30歳だったニートは44歳。みんな年をとって当たり前ですもんね」

所長 「そういうことだね。『8050』問題って知ってるかい?」

新米 「いいえ、『8020運動』なら知ってますけど…」

大塚 「いやいや、それとは違うでしょ」

所長 「ひきこもりが長期化すると親も高齢となって、収入が途絶えたり、病気や介護がのしかかったりして、困窮するケースが顕在化し始めていて、問題になってる。少し前も事件があっただろ。北海道で、82歳の母親と引きこもる52歳の娘の親子が、飢えと寒さによって孤立死した姿がアパートの一室で見つかった。こうした事件を『80代の親と550代の子』を意味する『8050(はちまるごーまる)問題』と呼んでいるんだよ」

大塚 「『7040問題』ともいうそうですね」

新米 「70代の親と40歳代の子ですね」

E子 「これまでは若者特有の問題として調査対象を39歳までにしていた内閣府も平成30年度は、40~59歳を対象にした初の実態調査を行うことを決めたそうよ。中高年層にひきこもり状態の人がどの程度いるかや生活状況、抱えている課題を把握し、支援に役立てる狙いで、今年度予算案に調査費2,000万円を計上したんだって」

深田GL 「40歳以上の調査のため、引きこもり期間については、これまでの39歳までの調査項目で上限だった『7年以上』をさらに細かく分けるらしいですね」

所長 「対象者の性別については『男性』『女性』以外の選択肢も設けることにもなるらしいよ」

E子 「ジェンダー、LGBT、SOGIにも対応していくってことなのかしら」

所長 「総務省の2016年の労働力調査では、35~59歳の『中年ニート』は123万人で、15~34歳のニート57万人の2.2倍の規模に達しているそうだ」

新米 「え? そんなに! 『40代ニート』『50代ニート』の方が多いんですか。そりゃ、問題だわぁ~!!」

深田GL 「彼らの親は、主に高度経済成長期にサラリーマンとして過ごし、経済的には裕福な方で子供の面倒もみてこれた。それが親が高齢になって、自分の病気や経済問題で立ち行かなくなり、SOSを発することで、中高年のニートたちの存在が表だってきたってことなんだろうなぁ」

E子 「いろんな事件も起こっているわ。『70歳父親が、ひきこもりの44歳長男を殺害(13年11月、広島県)』、『57歳ひきこもり男性が、パソコンを買ってもらえず、81歳父親を殺害(14年5月、三重県)』とかさっき、所長がおっしゃった飢えと寒さで孤立死した北海道の事件など」

所長 「事件にならなくっても、親の死後は生活保護を受けざるを得なくなる。その原資は税金だし、膨大な社会保障費が必要になる。ゴミ屋敷になるケース、介護につながるケース、いろんなことに広がるだろうなぁ…」

大塚 「これって、今も問題になってきているけど、20年後、30年後の方がもっと大きな問題になりそうですね」

深田GL 「増加する貧困化した中高年の老後を、減少した若者が支える。年金問題もどうなっていくことか…」

新米 「あちゃー。日本の未来は一体どうなる?」

● 8050問題(ハチマルゴーマルもんだい)* 新語時事用語辞典
ひきこもりの子をもつ家庭が高齢化し、50代の中高年のひきこもりの子を80代の後期高齢者にさしかかった親が面倒見るケースが増えている、という社会問題のこと。

いわゆる「ひきこもり」は一般的には10代~20代の若者の問題として捉えられがちだが、ひきこもりの問題が顕在化した1980~90年代から30年ほど経た現在、当時のひきこもり世代が社会に出る機会を逃したまま今なおひきこもり続け、50代になろうとしている、という例が少なくないと見られている。生活は以前と同様に親に頼ることになるが、親も仕事は退職しており家計も厳しくなる一方、また体力も衰えはじめ面倒を見切れなくなり、親子ともに世間から孤立しがちになると指摘されている。

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MAG2 NEWS
「ひきこもり」の高年齢化 40~60歳の初調査へ 内閣府
学校や職場になじめず長期間自宅に閉じこもる、いわゆる「ひきこもり」の高年齢化が指摘される中、内閣府は実態を把握するため、40歳から60歳ごろまでを対象とした初めての調査を行うことになりました。

学校や職場になじめず長期間自宅に閉じこもる、いわゆる「ひきこもり」をめぐっては、長期化で年齢が上がり、これに伴って親も高齢化して働けなくなることで、生活が困窮したり、社会から孤立したりする例が各地で報告されています。

内閣府は、これまで2回、ひきこもりに関する全国的なアンケート調査を行いましたが、いじめや不登校をきっかけとした若い世代の問題と位置づけて15歳から39歳までを対象としたことなどから、中高年層の詳しい実態がわかっていませんでした。

このため、内閣府は、実態の把握に向けて、ことし秋をめどに40歳から60歳ごろまでを対象とした初めてのアンケート調査を行うことになりました。

内閣府は、全国の5000世帯程度を対象に、本人や家族から調査票を回収する方式で調査を行う予定で、自宅に閉じこもるようになったきっかけやその期間などについて質問し、調査結果を今後の支援策の策定に役立てることにしています。

 遅かった……私の弟は去年亡くなってしまった(涙)。

 でも、まだまだサポートを必要としている人たちは日本中にいると思う。まずは実態を明らかにすることだ。
先週末に弟の一周忌。墓参は前の週にしており、法事は家族三人分をまとめて来月に設定したので、家で仏壇に手を合わせる。
 自死遺族という言葉を使うには心理的に抵抗があるが、弟の死によるメンタルへのダメージはいまだに大きい。

 そんな折、去年、些少ながら寄付した先のKHJ全国ひきこもり家族会連合会が「8050問題」(親が80代、子が50代)にも取り組み始めたのは心の慰め。一年前、いやもっと早く出会っていたら、サポートしてもらえただろうか。
ひきこもり地域で支援を 「8050問題」でシンポ
 ひきこもりが長期化し、高齢の親とともに孤立するケースを防ごうと、NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が18日、都内でシンポジウムを開き、行政や地域社会が一体となった支援の必要性を訴えた。

 ひきこもりは長年、不登校の延長で若者特有の現象とされてきたが、福祉の現場では「8050問題」(親が80代、子が50代)という言葉も生まれ、親の病気や介護、経済的困窮など、複合的な課題が指摘される。

 2018年の家族会アンケート(会員約630人対象)でひきこもりの人は平均年齢34・4歳、期間11年8カ月で、長期、高年齢化が進む。
無職弟に仕送り続ける母 「家族全員が破綻」兄の危機感
 きょうだいが少なくなり、社会的に孤立している場合もあります。家族は、どこまで支え合わなければならないのでしょうか。

 神奈川県の翻訳業の男性(51)の弟(47)は大学を出てから就職せず、在学中から同じアパートに住み、社会保険労務士をめざしている。だが、毎年あと一歩及ばない。無職で、生活は郷里の母(85)からの仕送りに頼る。

 1年ほど前、男性は電話で母に聞いた。「実際はいくら払っているの?」。母は「毎月12万円ぐらい」と答えた。

 父が亡くなってから、母はダウン症の姉(53)と2人で暮らす。弟への仕送りは実家近くで営むアパートの毎月の家賃収入10万円から出していると聞いていたが、たくわえを取り崩していた。母は「残っているのは定期預金の300万円だけ」と明かした。

 男性は弟に手紙を送り、冒頭にこう記した。《現状のまま続けると、全員の生活が破綻(はたん)するリスクが高い》

 それから、毎月の仕送り額を9万7千円とし、弟が50歳になる年度末で終えるという「通告」も盛り込んだ。

 男性も姉も弟も独身。弟を何とかしなくてはと思い立ったのは、男性にも経済的な不安があったからだった。

 国立大学の大学院で博士号を取得してドイツに留学。帰国後に研究職を志したがかなわず、10年前から大手企業の関連会社で契約社員として働いた。当時の年収は約600万円。だが、2015年11月に会社は突然閉鎖した。

 その後はドイツ語を生かしてフリーの仕事でしのいでいるが、収入は安定しない。ただ、仕送りには男性も出費して母の負担を減らした。さらに弟を扶養家族にして、社会保険料を肩代わりした。こうした手続きに必要な書類を手紙で催促しても、弟は指示した文書のコピーを入れた封筒を送ってくるだけ。弟には10年以上会っていない。

 「精神的に追い詰められているのではと不安になったり、『家族だから何とかしてもらえる』という甘えに腹立たしく思ったり。弟には生活保護を受給してほしいが、母は悲しむ。あと2年、私が頑張って待つしかない」

母の介護、手伝わない姉と弟
 神奈川県の女性(49)は、昨年6月から東京都内の療養病床に入院している母(81)を2週間に1度、訪ねる。「おうちに帰りたい」と訴えられるたび、胸が痛む。

 夫と中学生の娘と3人で暮らし、パートをしながら母を介護する。専業主婦で子どものいない姉(55)が埼玉県にいるが、介護を手伝うことはない。都心の実家で暮らす会社員の弟(47)は、身の回りの世話を母に任せきりだった。

 脳梗塞(こうそく)だった父を看取(みと)った10年前にも、介護疲れを訴える母を支えるため、幼子を抱えながら一人で駆け回った。夫は「なぜお前だけが?」といぶかる。

 昨年末、弟が困ったように聞いてきた。「俺のおせちはどうなるの?」

 女性は、ため息をつく。

 「母も、弟が一人で年を越すのを心配していたから、我が家に誘いました。でも母が逝ったら、私が弟の面倒を見るべきなんでしょうか」(高橋美佐子)

「きょうだいリスク」の共著があるジャーナリスト古川雅子さんの話 
 無職や未婚のきょうだいの将来を不安がる中高年層の声をまとめたのは、同世代間で格差が広がり、きょうだい間だけで解決できない状況が生まれているから。親が元気なうちは直視せずに済んでも、介護や死去などで一気に現実になる。家族で支え合うべきだという風潮は強いが、当事者を追い詰めないように、社会保障の観点でも議論すべきだ。

奨学金800万円重荷「父さんごめん」 親子で自己破産
奨学金破産
 2016年暮れの夜。携帯電話が鳴ったとき、男性(52)はハンドルを握っていた。家具販売の営業用の車を止め、東京で一人暮らしをする息子(27)の話に耳を傾けた。

奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる
奨学金、進む回収強化 「あきらめればモラルハザード」
 「父さん、迷惑かけることになってごめん」

 大阪の実家から私立大の国際関係学部に通い、卒業して3年半。奨学金を返せず、自己破産するという。入学金30万円や毎年100万円の授業料、通学費などのため、計800万円余を借りた。機構の調査によると、大学でかかる1年間の費用は「私大・自宅生」で平均約177万円。

写真・図版
東京にいる息子は計800万円余りの奨学金を借りた。うち576万円は有利子で、大学卒業後は利息も上乗せして返してきた。大阪の父親は「入学した時はこんなことになるとは、想像もしなかった」と振り返る(画像の一部を加工しています)

 息子がいま働いているマーケティング会社の手取りは月20万円ほど。家賃などを除くと、奨学金を返す4万円が重い。機構に返還猶予を求めたが、年収300万円以下の条件をわずかに超えた。延滞が3カ月に迫り、「個人信用情報機関に名前が載りますよ」と告げられた。20年返し続ける自信がなくなった、という。

 「お前がええんやったら、しゃあない」

家計が苦しくても、「進学したい」という息子の希望はかなえてやりたい――。そう思い、日本学生支援機構の奨学金を借りた。「まさか、こんな形で返ってくるとは」。父親は戸惑い、自らも自己破産する道を選んだ。

 息子が大学に入ったのは09年春のこと。就職難の時代、せめて大学に進まなければ職業の選択肢は限られる。息子は進学を希望したが、男性はその数年前、当時勤めていた会社を辞めていた。経営が悪化し、給料が半分ほどに削られたためだ。その後も職を転々とし、1年ほど見つからない時期もあった。中学生の娘もいて、家計は苦しい。奨学金を借りてもらうしかなかった。

 息子が自己破産を申し立てた直後の17年3月、男性のもとに機構から1通の封書が届いた。

写真・図版
息子が自己破産手続きを始めたのを受け、大阪の男性のもとに届いた日本学生支援機構の通知書。「今後は連帯保証人様より返還していただきます」と書いてある

 〈あなたが連帯保証人となっている奨学金の返還につきましては、ご本人は支払不能の状態のため、返還していただくことはできません。今後は連帯保証人様より返還していただきます〉

 請求が回ってくることを告げる通知だった。でも、パートに出る妻と合わせた年収は300万円ほど。800万円はとても背負えない。4カ月後、息子に続いて自己破産した。

 「お金がなくても大学に行けるようにする奨学金が、こんな重荷になるなんて」

写真・図版
奨学金の返還誓約書。人的保証だと連帯保証人と保証人も署名する(画像の一部を加工しています)

 本人、連帯保証人と続けて自己破産したため、最後は保証人に請求が回る可能性がある。男性は時折、保証人になっている父(91)に連絡を入れる。年金暮らしで、資産と呼べるものはない。請求がいかないように、と祈る思いでいる。(阿部峻介、諸永裕司)

 奨学金(という名の学資ローン)借りて大学進学しても20年間返済し続けられることがどんどん難しくなっていく。連帯保証人になった親や祖父母まで自己破産リスクがある。
 そして、きょうだい共倒れのリスクまで。

 ますます生きづらい時代になったなぁ。。
ひきこもる50代 80代親「お金なくなれば餓死かも」
「高齢者と未婚の子」世帯が急増

 40~50代になってもひきこもる子。それを支え続ける70~80代の親。見えにくい親子の孤立が広がる。過保護や甘えが原因と思われがちな長期ひきこもり。だが目をこらせば、雇用劣化など平成社会の構造変化が背景に透けて見える。

ひきこもり29年目 親子の孤立「このままでは共倒れ」
 親亡き後、息子や娘はどう生きていくのか。長期ひきこもりの中高年の子がいる高齢の親たちにとって痛切な課題だ。「誰にも相談できない」という家族のSOSに動かされ、支援の取り組みが動き出す。

 親が(O)、死んだら(S)、どうしよう(D)。親の苦悩を、そのまま団体名にした支援組織が7月に発足した。「OSDよりそいネットワーク」(東京都、理事長・池田佳世)だ。12月2日には都内で初の講演・シンポジウムを開き、全国から約90人の親が参加した。

 池田は「社会とのつながりがなく『親が死んだら一緒に死ぬ』というお子さんも多い。親が元気なうちに対処を」と呼びかける。家族会関係者に加え、法律家、税理士、不動産コンサルタントなど多くの専門家が協力する。「親亡き後」を見すえた家計・住まいの助言や、孤立防止の訪問サポートなどの活動をしていく。

 池田によると、相談をきっかけに、断絶していた親子のコミュニケーションが少しずつ回復する例もでてきているという。

 11月の相談会には、神奈川県の女性(74)の姿があった。40代の息子は7年前に仕事を辞めてからひきこもり、昼夜逆転でパソコンゲームに没頭している。会話はほとんどない。

 夫と自営の仕事を続けているので、まだ収入に余裕がある。息子には月5万円の「小遣い」を渡し、年金・医療保険料も親持ちだ。だが夫婦が働けなくなったら支援はできなくなる。

 働いていても趣味の活動をしていても、頭の隅には常に息子のことがある。

 「息子の暮らしがすべて親にぶら下がっている。お金がなくなれば、あの子は何も食べずじっとしていると思う。極端な話、餓死してしまうかも知れない」

 名古屋市の家族会「NPO法人なでしこの会」は2014年、親亡き後に残された子のために、「ひきこもりサバイバル」ハンドブックを作った。家事の仕方から生活保護の申請まで、必要な情報をやさしい言葉でまとめた。反響が大きく、会のウェブサイトにも掲載している。同会の親の平均年齢はすでに60代後半。将来への危機感は強い。

ゴミ屋敷の奥に60代の息子
 親に依存する同居中年シングル。そんな世帯が抱える将来の「共倒れ」などのリスクについて、臨床社会学者の春日キスヨは10年の著書で警鐘を鳴らしていた。それは続々と現実化している。

 一人暮らしと思っていた80代の女性が病に倒れた。支援に入るとゴミ屋敷の奥に60代の息子が暮らしていた。長年のひきこもりで足腰がたたず、介護が必要な状態だった――。大阪府豊中市社会福祉協議会の福祉推進室長・勝部麗子が一昨年、直面した事例だ。

 80代の高齢の親と50代の未婚の子の世帯が見守り・支援制度のはざまに落ち込み、相談先すらわからぬままに困窮する。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演したコミュニティーソーシャルワーカーの勝部は、この危機を「8050問題」と呼び、新たな地域課題として提起した。

 豊中市では、「8050」世帯を含めた見えない困窮層を支援につなげるため、気になる世帯への「ローラー訪問」に取り組んでいる。

 90年代後半、親に依存してゆとりある暮らしを送るパラサイトシングルという言葉が登場した。それから約20年、「8050」世帯の多くは困窮と隣り合わせだ。親亡き後の子世代は、そのまま無年金高齢者になる心配がある。

 背景にあるのは社会の構造変化だ。一言で言えば、ライフスタイルや雇用の常識が、昭和と一変してしまったのだ。

 平均寿命が延びて老後は超長期化した。70代80代でも子を支える体力気力がある親が増えた。一方、50歳まで一度も結婚したことがない人の割合(生涯未婚率)は、男性で90年の5・6%から15年は23・4%に急上昇した。

 バブル崩壊後に急増した非正規雇用やリストラなど若年層の雇用劣化の影響も大きかった。勝部が感じるのは親子の経済力の逆転現象だ。「高度成長期には、現役世代の子どもは高齢の親より経済的に豊かだった。最近はそれが逆になっている家族が珍しくない」。就職氷河期世代が40代を迎え、その傾向が加速しているとの指摘もある。

 15年春スタートの生活困窮者自立支援制度の窓口にも相談が相次ぐ。名古屋市の窓口のひとつ「仕事・暮らし自立サポートセンター大曽根」の相談員によると、いわゆる「高齢の親と中高年の未婚の子」に関わる相談は「週に1度」の頻度で寄せられるという。

 親の死去後に「3日食べていない」といって窓口を訪れた50代の息子。親子を生活保護につなごうとしても成人である子が面談を拒否するため手続きが難航する例もある。同センターはひきこもりの相談経験がある社会福祉士を配置して対応するが、こうした窓口はまだ少数だ。

国の調査「実態とずれている」
 ひきこもりの人の数は全国約54万人。これが内閣府が昨年公表した推計だ。ただし、この数は15~39歳が対象で、40歳以上は抜け落ちている。

 リーマン・ショックの08年、当時40代だった息子が退職に追い込まれ、ひきこもったという西日本のある父親(82)は「ウチの子みたいな人はたくさんいるのでは。国の調査は実態とずれている」と話す。

 一部自治体の先行調査は、中高年ひきこもりの多さを裏づける。山梨県が民生委員に実施したアンケート(15年)においては、ひきこもりの年代は40代以上が6割を占めた。内訳をみると40代(27・5%)、50代(16・1%)、さらに60代以上も16・8%いた。

 KHJ全国ひきこもり家族会連合会の事務局長・上田理香は「ひきこもりは青少年問題から中高年問題に移行している」と言う。40代以上を含めれば100万人を超すという見方もある。内閣府も、40歳以上を対象にした追加調査を実施する検討を始めた。だがすでに「9060問題」、90歳の親と60代の子の課題が生じつつあるという声もあがる。

 20~30年先の未来、わが子やきょうだいがひきこもり、孤立しないと断言できる人はいない。超高齢社会では誰もが当事者になりうる問題だが、親の過保護だ、本人の甘えだという自己責任論は根強い。

 「社会で支える合意ができていないなかで、親たちはどんどん高齢化していく」。ある親の言葉が胸に残る。かつて介護保険によって介護問題を「社会化」したように、孤立する親子を社会で支える仕組みをつくれるか。ポスト平成に引き継がれる宿題だ。=敬称略(清川卓史)
ひきこもり29年目 親子の孤立「このままでは共倒れ」
平成とは 第1部:時代の転機 (1)8050危機
 平成とは、家族の姿が静かに、だが劇的に変わった時代だった。ひきこもる中高年の子どもを支え、老後を迎えても保護者の役割からおりられない。いま、そんな高齢の親たちが増えている。人生100年時代の新たな家族危機だ。

特集:平成とは
ひきこもる50代 80代親「お金なくなれば餓死かも」
 その86歳の男性は、補聴器をつけて最前列で熱心にメモをとっていた。

 元高校教諭。10月に東京都内で開かれたKHJ全国ひきこもり家族会連合会の全国大会に、福岡県から泊まりがけで参加していた。

 長男は47歳。ひきこもりはバブル経済さなかの1989(平成元)年から続き、29年目になる。「あと3~4年の命でしょうが、ひきこもりの解決を考えることが使命。できるだけのことをしてあの世にいこうと思っています」

 深刻さを増すひきこもりの長期・高年齢化。

 長男が心に変調をきたしたのは大学受験がきっかけだ。第1志望の国立大に不合格となり、不本意ながら別の大学に進んだものの、すぐ実家に戻った。以来、バブルの崩壊やIT社会の到来、大震災など、世の中が揺れ動くなか、社会との接点をほとんど持たずに生きた。アルバイトも続かなかった。

 男性の退職金も底をつき、「このままでは親子とも破綻(はたん)する」と思い詰めた。意を決し、4年前、息子を残し賃貸の高齢者住宅に妻(82)と転居。今夏から息子は1人で生活保護を受けて暮らす。

 男性と妻はいまも、受験時の親としての助言がよくなかったのではと悔い、息子の将来に胸を痛める。気をもむのは生活保護切り下げのニュースだ。「40代後半で経験もなければ企業も雇うはずがない。生活保護を打ち切られたら本当に行き場がない」

 まじめで高校の成績はトップクラスだった。「生んでくれてありがとう」。去年の父の日に届いたはがきを、幾度も読み返す。

 高齢者がいる世帯で「親と未婚の子のみ」世帯が、昭和の多数派だった「3世代」世帯の比率を上回ったのは2009(平成21)年。「派遣切り」が吹き荒れ、年越し派遣村が元日紙面のニュースになった年だ。生涯未婚率の上昇、雇用の不安定化など、平成に生じた問題が背景に折り重なる。

 「親がいなくなったら、どないなるんやろ」。京都府の80歳女性はうつむく。40代半ばの息子と2人暮らし。30歳を超えてからほぼ自宅にこもる。「僕をホームレスにするんか」「親やったら助けてくれ」。息子の言葉に追い詰められる。「できひん」と言うと「じゃあ殺してくれ」。

 女性は「市民の会エスポワール京都」(京都府)の交流会で苦悩を打ち明けた。「わたしらのような人がたくさんおるんやなと思って、少し救われました」。同会は40~50代のひきこもりの子と家族を支援するため今春から活動を始めた。代表の山田孝明は「家族だけの問題でなく社会問題だ。あえて『市民の会』と名づけた」と話す。参加者は予想を超す約140人に達した。60代から80代の親たちだ。

 「老老」でも「独居」でもない親子の深い孤立。80代の親と50代の子の世帯の困難という意味で、「8050(はちまるごーまる)問題」と呼ばれる。

(敬称略)

     ◇

 清川卓史

 48歳。編集委員。貧困問題、介護保険・認知症などのテーマを長く取材。
 私は今年、助けてあげられず、共倒れさせてしまった。もっと早く本気で取り組めていたらふたりとも死なずん済んだろうか、と今も自問する。
ひきポス
『ひきポス』は、ひきこもり当事者や経験者の生の声を発信する情報発信メディア。ひきこもりや、生きづらさ問題を当事者目線で取り上げます。当事者、経験者、ご家族、支援者の方々へ、生きるヒントになるような記事をお届けしていきます。毎週金曜日更新。

ひきポスとは?
当事者や経験者の生の声を発信する


『ひきポス』は、ひきこもり当事者や経験者の生の声を発信する情報発信メディアです。ひきこもりや生きづらさ問題を当事者目線で取り上げていきます。

ひきこもりは「部屋から出たら終わり」と思われがちですが、そこからまた新しい困難が始まるというのが、経験者としての実感です。ですからひきこもりだけでなく、執筆者達の現在進行系で抱えている生きづらさもテーマにしていきたいと考えております。そして、見かけ上はひきこもってはいないけど、生きづらさを抱えている方にも届くコンテンツになれれば幸いです。


苦しみの闇に浮かぶ一筋の光に


私も以前、ひきこもっていた時期がありました。原因は様々あると思いますが、一番は自己嫌悪をこじらせきっていたんだと思います。

子供時代に安心できる環境がなく、自分の気持ちを押し殺して生きていました。そして殺しきってしまった。自分の中の本当の気持ちは姿を隠し、いつも心の穴に苦しんでいました。自分が嫌いで嫌いでいつも葛藤で疲れ切っていました。

他者との繋がりを理解できず、社会に表面だけ合わせるのも限界になり、ひきこもってしまったんだと今は思っています。

夏休みの宿題が一つも終わってない8月31日のような焦りと不安が毎日続く。そこにのしかかる絶望と無気力と苦しみ。先のまったく見えない暗闇の日々でした。

当時、自分と同じように「人生がうまくいかなくなってしまった人」がどうやって生きていくのか、そんな話を聞きたい読みたいと思っていましたが、そこにはたどり着けませんでした。

世界で苦しんでいるのは自分たった一人ではないのか。これほど苦しい思いはそうないです。同じような苦しみを抱えている人の情報があれば、もっと早くどん底の苦しみから抜け出せたかもしれない。

暗闇に浮かぶ一筋の光になるかもしれない。そんな思いがあるから当事者発信を続けています。

負の経験を価値にする

そうして、今まで「不登校新聞」や「ひきこもり新聞」を舞台に活動を行ってきました。

そこでは、自身のひきこもりや、生きづらさの経験を言葉にすることで、多くの人々に生きるヒントや、時には勇気をも与えられることを実感しました。

ひきポスによって、ひきこもりや生きづらさの経験は、隠すべきマイナスの経験などではなく、伝える価値のあるプラスの経験にもなるのだと、社会へ示していきたいと考えています。

当事者、経験者で作り上げるメディア

ひきポスは全員ひきこもり当事者、経験者で運営しています。月に一度の編集会議では当事者、経験者が集まり、記事のアイデアを練っています。私は、"弱さ"でつながるのは、苦しいことや暗いことではなく、むしろ楽しくて役立つことだということを気づきました。今後は社会の方も"弱さ"でつながることを取り入れていくのではないか、そんな予感さえもします。

またひきポスでは、ゆくゆくは記事を書いて頂いた方に原稿料をお支払する仕組みを作りたいと思っています。自分の書いた当事者経験が読まれ、評価されることで、書き手の心が軽くなる。さらに読み手の役に立つ。そしてそのことが評価されお金になれば、一石三鳥の当事者支援にもなります。

今まで活躍できなかった人が活躍でき、そして一人でも苦しい人が減る。そんなメディアに育てていきたいと思います。

今後、WEBをご覧になれない方のために冊子版を製作する予定です。創刊号の発売は2月15日を予定しております。

みなさまの温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。そしてどうぞひきポスをブラウザのお気に入りに登録して頂き、時々覗きに来て下さい!

ひきポス編集長 石崎森人

更新情報が届きます。ぜひフォローしてみて下さい!

 引きこもりを抱えていた家族として有用な情報があれば今後紹介したい。
プロフィール
HN:
まりあっち
性別:
非公開
自己紹介:
タレントマネジメント(人材開発・組織開発・パフォーマンスマネジメント・採用など)のスペシャリスト。
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